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おまけ2・後日談
夏休みが終わって数日が過ぎた頃、遠山から飲みの打診が来た。一応それを設楽に話したら、当然のようについて来ると言って聞かず、結局大竹は待ち合わせ場所に設楽を伴って出かけた。
本来なら18歳未満でもあり高校生でもある設楽を飲みに連れて行くなんて事はあり得ないのだが、相手は親戚の大人だし、一応保護者同伴ということで目を瞑ってもらおう。
待ち合わせ場所に着くと、まだ遠山は来ていなかった。ここに着く前から機嫌の悪かった設楽を、何とか宥めながら遠山の到着を待っていたのだが、遠山がやっときたと思った時、2人の目は一瞬点になった。
遠山は、1人の女性を連れていたのだ。
「アレ?その人は?」
「ん?彼女だよ。2人の話したら、ぜひ会ってみたいって言うからさ。今日はまぁ、ダブルデート的な?」
一応否定したはずなのに、2人が付き合っていると信じて疑っていない遠山に、頭が痛くなる。
いや、間違ってはいない。
間違ってはいないのだが、それを設楽の親戚相手に、肯定してしまうわけにはいかないのだ。
「……だから遠山、前にも言ったが……」
「ハイハイ、付き合ってないのね。了解了解」
遠山は全く人の話を聞いてない風で、1人で納得している。
「初めまして。今日は無理言ってすいません」
遠山の彼女はにっこりと微笑むと、大竹と設楽に向かって軽く頭を下げた。
なかなか綺麗な人だ。だが、そんな彼女の姿に、2人の眉間には、ムズムズと皺が寄った。
だってこの彼女……。どことなく、髪型とか喋る雰囲気とかが、誰かを思わせるんですけど……。
「……お前、気がついてる……?」
「何が?」
「……シスコンもそこまで来ると怖いぞ……?」
「え?だから何が?」
「いや……気づいてないなら良い……」
本当に気づいていないらしい遠山に、何と言って良いか分からなくなる。
遠山にちゃんと彼女がいたというのも驚きだが、その相手がこれでは……。いや、もし仮にだよ?もし仮にこの彼女が田舎にご挨拶に行ったとしたらだよ?さすがに彼女も美智を見て、いやな気分にならないか……?
それ以前にまぁ、美智が恐ろしい小姑になりそうで、それも怖い気がするが、そんなよその家のことは考えないようにしよう……。
大竹と設楽が遠山のこの先を思ってぐるぐる考えているというのに、そのぐるぐる顔をどう取ったのか、遠山はとんでもないことを言い出した。
「あ、智。心配しなくても俺彼女いるから、別に大竹に手ぇ出したりしないよ?ほらまぁ、女房が思うほど亭主もてないって、昔から言うじゃん?」
「だから女房でも亭主でもないから!」
すかさず大竹が突っ込むと、それを彼女が優しく止める。
「あらダメだよ、優。そんな風にからかっちゃ!きっとあんまり大っぴらに言っちゃいけないんだろうし。それにこういうこと、微妙なお年頃だよねぇ、智くん?」
2人は店でもこの調子で、さっきあんまり大っぴらに言っちゃいけないと言った舌の根も乾かぬうちに、遠山と彼女は大声で、大竹達に向かって付き合ってるの付き合ってないのとからかいながら終始ご機嫌だった。
何なんだよこの2人……!
顔は妹そっくりなくせに、性格は遠山そっくりだな……っ!
……つうか、頼むから空気読めよ……!!!
結局この夏は、最後まで遠山兄妹に振り回された2人だったとさ……。
~終わり~
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