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【家族以上】ヘタノヨ コヅキ

来栖二ツ矢(くるすにつや)こと俺は今、小さな明かりに灯された和室で一人……紺色の浴衣を着ながら、筆を執っている。  このご時世、パソコンやらスマートホンやらで簡単に小説を書ける時代だ。わざわざ、原稿用紙に向かって小説を書いている奴なんて希少な存在だろう。  それでも俺は、この執筆スタイルが好きだ。  気に入った万年筆を使って、まっさらな原稿用紙を黒いインクの色で埋めていく様は、何度見ても飽きない。  書き損じた際に、原稿用紙をグシャグシャに丸めてゴミ箱へ投げる行為も嫌いじゃないし、何よりアナログなこの執筆方法だと機械音がしなくていい。  片手には万年筆、片手には原稿用紙の感触……襖を開けば、縁側がある。  いつの時代だと笑われるかもしれないが、和風なこの家屋すら、気に入っているのだ。  縁側の向こうには、蛍が自由気ままに飛んでいる。俺にとっては日常だが、見る人によっては風情だ何だと、特別な景色に見えるだろう。  季節は夏、学生にとっては夏休みであろうこの時期……夜でもかなり暑苦しい日が続いている。今日も例に漏れず、そこそこ暑い。  ――それにしても、騒々しいな。  普段なら鈴虫の鳴き声が聞こえてくる程静かだというのに、今夜は違う。  今日は、親戚がこの家に集まっているのだ。  笑い声や足音や、何の音なのかよく分からない音までもが聞こえてくる。実に不快だ。  この家は俺の両親と、母親の方の両親が住んでいる。夏休み時期だからと、親戚一堂が会する……おかしな事ではないが、どうにもその空気は好きになれない。  だから俺は、書斎兼自室であるこの部屋に逃げ、仕事をしている。  もう察しはつくだろうが、俺は小説家だ。  映像化や、有名な賞を貰ったりもしているが、それらに対して価値は見出せていない。  書きたい事を、伝えたい事を作品にしているだけ。それで食えているのは大変ありがたいが、決して楽でもない。  親戚の集まりから逃げてきたのは確かだが、執筆をしないといけないのも事実。締切があるのは、やはり楽じゃない。  すると、縁側に人の気配を感じた。 「おじさん」  縁側に立っていたのは、亜麻色の髪を短く切り揃えた一人の青年だ。  み空色の瞳は、俺に向けられてはいるが、本当に俺を見ているのか定かではない。ボーッと突っ立っているその青年は、翠緑の浴衣に身を包んでいる。 「シチ、どうした?」  青年の名前は、シチだ。  シチは俺の姉の息子で、確か二十歳になったばかり。俺からすると、甥だ。  姉の旦那……つまり、シチの父親はどこの国か忘れたが、外人。シチはハーフだ。  肌の色は白く、美白という言葉はシチの為の言葉なんじゃないかと思ってしまう程で、中性的な顔立ちも相まって、一目見ただけではシチの性別が分からないだろう。  無口で無表情、いつも何を考えているのか分からないし、実は何も考えていないのかもしれないシチは、よくボーッとしている。  そんなシチは覚束ない足取りで、部屋の畳を踏んだ。 「おまつり、みんな……いくって」  俺のすぐ近くに立ったシチが、言葉を区切りながら呟く。  つい数年前まで、シチはずっと海外に住んでいた。日本語が分からないわけではないが、話すのは得意ではないらしい。いつも、こんな調子だ。  気付けば、家の中が静かになっている。  シチの言葉から推測するに、親戚や家族総出で近所の夏祭りに行ったのだろう。随分と元気な事だ。 「シチは行かないのか?」  振り返ると、シチはフラフラと体を揺らしていた。 「おさけ、のんだ。だめって」  二十歳になったばかりのシチに、酒を強引に勧めた奴がいたのだろう。かなり飲まされたのか、酒に弱いのかは分からないが……しっかり立っていられないくらいには、酔いが回っているようだ。 「とりあえず、座ったらどうだ?」 「ん」  シチは俺の言葉を聞いてから小さく返事をすると、畳の上に座り込んだ。  シチが着ている翠緑の浴衣ははだけていて、白い肌を無防備に晒している。浴衣の正しい着方なんて知らないのだろう。着させられたはいいが、乱れたらどうしていいのか分からないからそのままにした……といったところか。  よく見るとほんのり、シチの目元が赤くなっている。  ペタンと畳に座り込んだシチは、いつもと変わらずボーッとしているに見えた。  おそらく何も考えず、ただ畳を見ているだけだろうが……その姿は、同じ人間とは思えない程浮世離れしていて、美しい。  だが、見た目に騙されてはいけない。今ここにいるシチは、ただの酔っ払いだ。現に、座っているだけなのにフラフラと上体を揺らしている。 「オイ、倒れるなよ」  今にも倒れてしまいそうな程不安定なシチを見ていられず、俺は一度作業を中断した。  シチの後ろに膝をつくと、その上体を支える。  すると、シチが俺の膝の上に座って、もたれかかってきた。 「うぉッ!」  前言撤回……もたれる、なんて可愛いもんじゃない。全体重を預けて、シチは俺ごと床に倒れようとしてきているようだ。  慌ててシチの体に手を回し、バランスを取らせる。  その瞬間……ピクンと、シチの肩が跳ねた。 「んっ」  咄嗟に回した俺の手が、シチの素肌……胸に触れたからだ。  甘い響きを含んだ声が、薄く開かれたシチの口から漏れ出る。  シチは俺に寄り掛かったまま、小さく息を吐く。  ――その姿も、美しい。 「ねえ」  不意に、シチが俺を呼ぶ。  いつもボーッとして、どこを見ているのかよく分からない瞳が、後ろに座っている俺に向けられた。  白魚のように、それでいて儚い印象を与える細い腕が伸ばされ、華奢な指が俺の頭を撫でる。 「あつい」  言われてみると、シチの肌はうっすらと汗ばんでいた。 「……離れるか?」 「やだ」  シチが、首を小さく横に振る。 「さわって」  シチはそう言うと、脚をモゾモゾと動かし、開いた。  翠緑の浴衣から、細くしなやかな脚が覗く。  不可抗力とはいえ胸元に添えてしまった左手はそのままに、俺は右手を伸ばす。 「ん……っ」  眼前に晒されたシチの脚に指を這わせると、シチが満足そうに吐息を漏らした。  宝石のように透き通った、み空色の瞳が細められる。  胸元に添えてしまった左手で、シチの薄い胸板を包み込む。  指先でなぞるように内腿を撫でると、俺の髪を撫でているシチの指が、ピクンと跳ねた。 「もっと、ちゃんと……」  ただ撫でるだけの触れ合いは、シチにとってもどかしいものでしかないようだ。俺の腕に上体を預け、シチが俺を見上げる。 「ちゃんと……何だ?」  シチの言いたい事は、分かっているつもりだ。  かと言って素直にシチの要求を聞いてやるかと問われれば、答えはノーだが。  内腿に指を這わせながら訊ねると、シチは細めた瞳で俺を見つめ続ける。 「もっと、うえ……」 「ここか?」  わざと、脚の付け根に指を這わす。  小さな意地悪にも、シチは律儀に反応する。 「やっ……もっと、うえ……っ」  目元だけでなく、頬までもが上気している。小さく身じろぎながら、シチが熱っぽい視線を俺に向けた。 「おねがい……っ」  いつも言葉足らずではあるが、アルコールを含んでいるせいか、どこか舌足らずだ。 「きもちいいとこ、さわって……っ」  甘く、囁くような……消えてしまいそうな程儚い声色なのに、言っている事は品が無い。  どこか浮世離れした美貌を持ったシチが、淫らな行為を望んでいる……そのギャップが、堪らなくそそられる。 「こっちか?」 「ぁんっ!」  脚の付け根を撫でていた指で、シチの逸物に触れた。  驚いた事に、シチは下着を身に着けていなかったようだ。 「この恰好でうろついてたのか?」  指の腹で逸物を下から先端に向けてなぞると、シチが腕の中でピクピクと震える。 「んっ……ゆたか? んっと、ゆかた? は、したぎ……つけないって、きいた……っ」  誰がそんな間違った知識を与えたのか……おそらく、姉だろう。  確かに、昔は浴衣の下は何も身に付けなかったようだが、それは元々……浴衣は夏の時期、快適に寝る為の寝巻だったからだ。  つまり、浴衣を着ている時に下着を着用しないのは、外出をしない前提の話という事。  姉の間違いはそのうちシチ諸共正すとして、それよりも今は目の前の甥を悦ばせる事に集中しよう。  先端を撫でると、そこはうっすらと濡れていた。 「ひゃ、ぁ……っ」  ほんの少し触れただけなのに、シチが過敏に反応する。それを見るだけで、シチがどれだけ触れられるのを待ちわびていたのかが分かってしまう。  シチの逸物は、浴衣の下で存在を主張している。俺が触った時には既にそうなっていたので、俺が触る前から勃起させていたのだろう。 「いつから勃たせてた?」  右手でシチの硬くなった逸物を握ると、シチが目を閉じる。 「うしろから、ぎゅって……されたときから」  倒れそうになっていたシチを、俺が支えた時からだったらしい。 「とんだ淫乱だな」 「いん、らん……?」 「エロイって事だ」  握ったシチの逸物を、弱い力で上下に擦る。 「あ、んっ」  俺の頭を撫でていた筈のシチの手が、まるでしがみつくように力を籠めていた。 「は、あ……もっと、つよくして……っ」  開かれた瞳が、潤んでいる。  形のいい唇からは、切なげな吐息が漏れ出ていて……何とも、官能的だ。  どれだけ綺麗でも、どこか幻想的な容姿をしていても……シチが健全な男なのに変わりない。勃起だってするし、気持ちいい事が好きなのだって、変な事ではないだろう。  だが、決してこれは普通の行為ではない。  ――快楽を提供してくれている相手が、自分の叔父なのだから。  ゆるゆると手を上下に動かすと、またもやシチは切なげな吐息を漏らした。 「あ、はぁ……もっとぉ……っ」  この程度の扱きで、イけるわけがない。  射精したいという男としての欲望と、気持ちいい事には変わりない現状の板挟みに、シチは辛そうだ。 「約束はちゃんと守ってるか?」  俺の問いに、シチは何度も頷く。 「うん、うんっ……まもってるっ」 「俺との約束、口に出して言えるよな?」  シチは潤んだ瞳を俺に向けたまま、震える唇を動かした。 「だれにも、おじさんと……えっちなことしてるの、いわないっ」 「それと?」 「ひとりで、えっちなこと……しない」 「もう一つは?」  シチが、耳まで赤くなる。 「おじさん、いがいのひと……すきに、ならない……っ」  勃起した逸物を触ってと言うのは恥ずかしくないのに、俺に好きと言うのは恥ずかしいらしい。  色白な顔が真っ赤に染まっているのを見るのは、妙な背徳感を得られて……好きだ。 「ちゃんと、まもってるから……おじさん、おねがい……っ」  シチの赤く染まった頬に、触れるだけのキスを落とす。 「いい子だ」  そう呟き、俺はシチの逸物を強く握った。 「あっ!」  腕の中でビクンと大きく体を跳ねさせて、シチが驚いたような声を上げる。  俺とシチがやっている事は、到底許される行為ではない。  俺達は男同士……しかもシチは、俺の甥だ。  手を出していい相手では、ない。  それでも俺は、シチに誘われるがまま……手を、出してしまった。 「あ、あっ! おじ、さ……あッ!」  何度も上下に扱くと、シチが断続的な悲鳴を上げる。  シチが本当に俺との約束を守っているのなら、過剰に見えるこの反応にも納得出来る。  俺とシチの関係を、他の誰かに知られるわけにはいかない。  だから俺は、シチに三つの約束を取り付けた。  叔父である俺と、甥であるシチが触れ合ったりセックスをしている事は、誰にも言わない。これは、当たり前の事だろう。  一人で自慰行為をしないという約束と、俺以外を好きにならないという約束は……俺の大人げない独占欲だ。  だと言うのにシチは素直だから、疑いもせず三つの約束をきちんと守っているらしい。 「おじ、さっ……ぼく、もぉ……んッ!」  最後にシチとセックスをしたのは、三ヶ月前だ。溜まっていたっておかしくない期間だろう。  限界を訴えているシチに応えるように、俺は逸物を扱く手の速度を上げる。  それだけでは飽き足らず、俺はシチの胸元に添えていた左手で、シチの乳首をつねった。 「やぁあッ!」  不意に与えられた快感に、シチが一際大きな声を上げる。 「出していいぞ、ほら」  左手で乳首を弄り、右手で強く逸物を扱く。  二ヶ所へ与えられる快感に、シチの体が大きく跳ねた。 「あ、あぁッ! おじさ、あッ、んん~ッ!」  ビクビクと体を震わせながら、シチは浴衣の下で勢いよく精液を吐き出す。  シチが射精している最中も、愛撫の手は止めない。手の動きに合わせるように、数回に分けて精液が迸る。 「は、ぁ……はぁっ、ん……ッ」  三ヶ月ぶりの射精に、シチは満足そうに息を吐く。  普段は涼やかな瞳が、今ではトロンと蕩けきっている。しがみついていた手を上げたままにしている余力も無いらしい。ダラリと腕を下ろし、肩で息をしている。  完全に惚けきっているシチは、ぼんやりと俺を見ていた。 「凄い量だな……手がベトベトだ」  扱くのをやめて、浴衣の下から手を出す。  手に付いたシチの精液を眺めてひとりごちた俺に続くように、シチも俺の手を見る。 「はぁ……いっぱい、でた……っ?」 「あぁ。凄くドロドロして、かなり濃いやつがな」 「うれ、しぃ……っ?」  視線を手から俺の顔に戻したシチが、未だに惚けたままの表情で俺を見上げた。  この量と濃さは、シチが俺との約束を守っていた証……不快に思う筈がない。 「そうだな。嬉しいよ」 「そう……」  俺の返事に、シチが口角を上げる。  ――クソ、可愛い。  上気させた頬と、蕩けきった瞳……うっすらと開かれた唇の中から覗く、赤い舌……その全てが、愛おしくて仕方ない。 「あ……っ」  突然、シチが小さく跳ねた。 「どうした?」  逸物を扱いてもいないし、乳首も弄っていない……いったい何に反応したのかと、腕の中にいるシチを見つめる。  するとシチは、視線をさまよわせた。 「…………あ、た……ってる……っ」  恥ずかしそうに視線を逸らしながら、シチは何かを訴える。  ――当たってる?  そこで、シチの言いたい事に気付く。 「あぁ……コレか?」 「ふぁっ!」  シチの尻に、わざと『当たってる』モノを押し付ける。  シチは驚いたのか、マヌケな声を出した。 「好きな子に触ってるんだ。当然だろ」 「すき、な……こ……っ」  自分の事を言われているんだと気付き、シチが俯く。  ――イマイチ、シチの恥ずかしがるポイントが分からないが……これはこれで可愛いから、いいか。  暫く視線を泳がせていたシチだったが、何かを決心したのか……先程まで俺の頭にしがみついていた右手を、のそのそと動かした。 「シチ?」  その手は俺の勃ち上がった逸物を、浴衣の上から撫でている。 「おっきい……」 「それはどうも」 「おっきい、うれしい?」 「褒め言葉だろ」  シチはイマイチよく分かっていなさそうだが、俺が喜んでいるのが嬉しいのか、俺を見つめて口元を緩めた。 「おじさんの、おっきい」  俺が喜ぶと思って、もう一度呟いたシチの手は、浴衣の上から俺の逸物を撫でたままだ。  ――駄目だ、可愛すぎる。 「シチ」  名前を呼び、俺を見上げているシチにキスをした。  シチはいつもと変わらない、どこかボーッとした目で俺を見上げている。 「挿れたいんだが、いいか?」  数回まばたきをした後、俺の言っている事を理解したシチが、こくりと頷いた。 「ん」  ――これには、照れないのか。  やはりシチの照れるポイントが分からない。  シチは俺の逸物から手を離し、俺を見つめる。 「きょうは、どんなたいい?」 「体位なんて言葉、どこで覚えたんだ?」 「おとうさんの、えっちなほん」  ――聞きたくなかった。  官能小説の事を言っているのだろう。勉強家なシチの事だ、意味をしっかり調べて覚えたに違いない。  自分自身が、官能小説を読んだ事を告白するのも恥ずかしくないらしいシチは、み空色の瞳を真っ直ぐ俺に向けている。これからセックスをする相手を見ているとは思えない、澄んだ瞳だ。 「その本は、どんな体位だった?」  俺の質問に、シチは困ったような顔をした。 「うしろ……よん、なんとか」  どうやら、漢字が読めなかったらしい。  後ろと四……何の事かと思考を巡らせていると、シチが俺の膝から降りた。  すると突然、その場で四つん這いになりだす。 「シチ?」 「こう」  手の平と膝を畳につけたまま、シチが俺を振り返る。  それは、バックの体勢だ。  ――後輩位と、四つん這い?  シチの体勢を見て、先程の言葉に合点がいく。 「結構乗り気だな」 「……ん」  官能小説に書いてあった体勢をすぐに実践するという事は、俺とのセックスにシチが乗り気だという事だろう。  俺の指摘に、シチは小さく頷く。 「おじさん、きて……っ?」  乗り気と言うよりも、待ちきれない様子だ。  シチは俺を振り返ったまま、ジッと見つめている。 「浴衣、自分で捲れるか?」  挑発的な俺の言葉にも、シチは素直に頷く。 「ん」  翠緑の浴衣を自分で捲り、シチは恥ずかしがった様子も無く、俺に尻を向ける。  小振りな尻は、やはり色白だ。尻だけ見たら、女のものだと言われても納得してしまいそうな程、可憐に見える。  無垢に見えるが、処女ではない。だが、それが堪らなく興奮する。  シチの処女を奪ったのは、他でもない……俺なのだから。  シチの尻穴に、そっと指を這わせる。 「んっ」  驚いたのか、シチが小さく息を呑む。  まるで、誰も受け入れた事のないように見える秘所へ……ゆっくりと、人差し指を挿入していく。 「あ……んっ」  たった指を一本挿れただけなのに、シチはうっとりとした吐息を漏らし、体を小さく震わせているようだ。 「痛いのか?」 「ち、がう……っ」  人差し指をゆっくりと抜き差しすると、その動きに合わせてシチが震える。  神経は尻に集中させたまま、シチがポツリと呟いた。 「おじさんと、えっち……うれしいっ」  見ると、シチの逸物がまた熱を持ち、存在を主張している。  中指も挿入し、二本の指でナカをほぐす。  シチは下を向き、律儀に体を震わせて反応したままだ。 「は、ぁ……んっ」  内側を擦り上げられる感覚が堪らないのか、切なげな吐息を漏らしている。  無理をしているようには、見えない。  ならばと、俺は三本目の指も挿入した。 「あっ、んんっ」  あっさりと俺の指を咥えこんだシチのナカが、キュウッと締め付けてくる。 「痛くないか?」 「きもち、い……あッ!」  久し振りとは思えない程、シチの感度は高い。痛そうでもなければ、苦しそうでもなく……ほぐす為に動かしている俺の指にすら、快感を得ている状態だ。 「もっと、おくも……して、ぇ……っ」  何だったら、強請ってくる程感じているらしい。  シチの要求通り、三本の指をピッタリと揃えて、一気に奥を突く。 「ひゃあんッ!」  ビクンと腰を揺らし、シチが嬌声のような声を上げた。  奥を弄られるのが相当好きらしい。一度だけではなく、何度も奥を指で突いてやると、シチが断続的な声を上げた。 「あ、んッ! ひゃ、あぁッ! んんッ、んぅッ!」  シチの逸物は完全に勃起していて、先走りの液をぽたぽたと畳に零している程だ。指でこれだけ感じているのなら、それ以上の物を挿入されたらどうなるのか……何度抱いても、その瞬間の興奮度合いは下がらない。 「おじさ、んんッ! ぼく、あぁッ!」  余裕の無い声で、シチが俺を呼ぶ。  逸物から溢れている先走りを見るだけで、シチがどれだけ感じているのかは分かっているつもりだ。シチが何を言いたいのかも、分かっている。 「さわって、おねが……ぃあッ! まえ、まえも、さわってぇッ!」  長い期間禁欲をしていたシチにとって、やっと思う存分射精出来る機会……どれだけ乱れようとも、不思議ではない。  だが、俺はシチの逸物には触れず、後ろだけを弄り続ける。 「や、あッ! おじさ、ぁんんッ! おねが、おねがいッ、だから……ぁあんッ!」  シチは必死に懇願して、前を触るように訴えた。  体を支えている腕を、ガクガクと震わせているのは、見れば分かる。内腿も震わせているし、溢れている先走りの液も凄い量だ。  それでも俺は、決して前を触らない。 「い、いやッ! やら、あッ、あッ! おじさ、やぁッ! あん、んぅッ!」  余裕の無い喘ぎも、全身で限界を訴えている姿も、全てが愛おしく見える。 「ココ、好きだったよな?」  三本の指で、シチの感じるポイントを一気に擦り上げた。  瞬間、シチの体が大きく震えるのと同時に、指がキツく締め上げられる。 「あ、そこ、らめッ、やっ……やぁあんッ!」  想定していた方法とは違った形で、シチは呆気なく二度目の絶頂を迎えた。  ついさっき出したばかりだというのに、その勢いは衰えていない。勢いよく精液を畳に吐き出すと、ほんのり赤く染まった体をシチがせわしなく上下させる。 「はぁ、はぁっ……はっ」  腕に力が入らないのか、シチは畳に倒れ込んだ。  絶頂による疲労からか、シチは肩で息をし続ける。尻だけを突き出した状態で、荒々しい息を吐く。  力の抜けた尻穴から、指を三本とも引き抜くと、シチの尻が小さく震えた。 「あ……っ」  ひくひくと、物足りなさそうに疼いている尻穴に、俺は自分の完勃ちした逸物を押し当てる。  それに気付いたシチが、体勢はそのままに呟く。 「はじめて、だから……いたく、しないで」 「お前は初めてじゃないだろ」 「……ほんに、かいてあった」  父親の所持している官能小説を、かなり読み込んだようだ。  先端をあてがい、ゆっくりと息を吐く。 「シチ、挿れるぞ」 「ん……っ」  小さく返事をするのと同時に、尻穴がひくついた。  先程の乱れ様から見ても、遠慮は要らないだろう。 「あ、ん……んぅ!」  先端から、徐々に逸物を挿入していく。  久し振りの交わりに、シチが畳に爪を立てている。 「はぁ、あ……ぁあっ!」  ゆっくりと咥えこませていくと、シチの漏らす嬌声のような声が、高いものになっていく。 「ふと、いぃ……おじさんの、おっきくて、いっぱいに……んんんッ!」  反射的にか、逃げようとするシチの腰をしっかりと掴む。  そのまま、遠慮なく奥まで逸物を突き刺すと、シチがビクンと大きく跳ねた。 「ひぁんッ!」  奥を貫かれるのが好きなシチにとって、深々と突き刺されるのはご褒美でしかないだろう。俺の想定通り、シチは悦んでいる。  その証拠に、射精したばかりの逸物がまた硬く反り立っているのだから。 「キッツ……それに、シチのナカ……熱いな……っ」  久し振りだからか、単純に離したくないからなのか……俺のを強く締め上げているシチのナカは、かなり熱い。  締め付けと想像以上の熱に、頭の奥がクラクラしてきそうだ。  だが、シチはシチでそれどころではないようだ。 「きもちぃ……おじさん、もっとぉ……ッ」  口の端からだらしなく涎を垂らし、シチは更なる快楽を要求している。  黙って立っているだけで、人の目を惹きつける美貌を持っているシチが……叔父である俺に犯されて、はしたなく善がっているこの光景。  雪のように美しい肌は、暑さと熱さからほんのり赤く染まっているが、それすらも美しいと思える。  しっかりと逸物を咥えこんでいる結合部も、淫らな筈なのにそう見えないくらいだ。 「シチ、動くぞ……」  ゆっくりと腰を引くと、シチが息を呑む。 「は、ん……っ!」  引き抜かれる事で肉壁を擦られ、それにより快感を得ているようだ。  引いた腰を、今度は奥目掛けて突き動かす。  淫乱なシチは、当然反応した。 「ぁあんッ!」  シチの逸物からはまた蜜が溢れていて、精液の飛び散った畳に零れていく。  引き抜こうとしては、深々と突き挿れる……叔父と甥がしていい事ではないと分かっていながら、お互いがお互いで感じていた。 「おじさん、おじさぁんっ! おく、もっといっぱいしてッ……あッ! そこ、そこきもちぃから……もっとしてぇッ!」  何度もシチとセックスをしているんだ。いくら間が空いても、シチの性感帯は忘れたりしない。  緩やかだった腰遣いが、どんどん遠慮の無い激しいものになってしまう。 「ココを乱暴に突かれるの、好きだよな?」  それでもシチは痛がったり、苦しそうにはしない。むしろどんどん乱れていき、更に強請っていく。普段の見た目からは想像もつかない程、シチは快楽に溺れているのだ。 「すき、すきぃ! おじさんの、すきッ! だから、もっと……あっ、ぁんぅッ!」  抵抗もせず、むしろ尻を俺の腰に押し付けてくるシチの体に、手を伸ばす。  腰を掴んでいた両手でシチの胸元をまさぐると、ツンと存在を主張している小さな突起が、指に触れた。  俺は迷いなく、二つの突起をつねる。 「あぁあんッ!」  つねると同時に、逸物が強く締め付けられた。 「ホント、乳首弄られるのも好きだよな」 「あぁッ、あッ! そこッ……くりくりしちゃ、らめぇッ!」  一番の弱点である奥を何度も突かれながら、その次に弱点である乳首を両方ともつねられ、シチは限界のようだ。 「おじさん、おじさぁんッ! でちゃ、でちゃうの……ぼく、また、またぁッ!」  まるで女のように、だらしなく喘ぐシチの姿は……かなり、そそられる。  ずっと官能的な姿を見せつけられて、正直……俺自身も、限界だ。 「シチ……ナカに出すぞッ」 「ん、んッ! なか、だしてッ! あついの、いっぱい……いっぱい、だしてぇえッ!」  ナカ出しされる事を想像したのか、シチが俺の逸物を一際強く締め付けた。  それと同時に、俺とシチは絶頂を迎える。 「……ッ」 「ひゃぁあッ! あ、あついの、あぁんッ!」  シチの好きな奥に精液をぶちまけると、シチが三度目の射精をしながらうっとりとした表情で喘ぐ。  お互いに、長い時間をかけてたっぷりと射精をする。荒い呼吸音だけが部屋に広がり、体を繋ぎ続ける……満たされた、時間。 「はぁ……ぁ、ん……っ」  畳は、シチの精液やら先走りの液やらでドロドロに汚れている。  はしたなく何度も精液を吐き出したシチの逸物は、未だに小さく震えていた。 「おじさん……もっと……っ」  口だけでなく、逸物を締め付けて尻でも強請るシチは、まだまだ物足りなさそうだ。  シチがこの家を離れるのは、まだ先だが……時間が限られているのには変わりない。 「足腰、立たなくしてやるからな」  そう言ってから、シチのうなじにキスをする。  翌朝、普段と変わらず自室で執筆作業をしていると、後ろから物音が聞こえた。 「……んっ」  どうやら、シチが目覚めたらしい。掛けていた布団を自分から剥がし、身じろいでいる。 「おはようさん」  振り返って挨拶をすると、シチがボーッとした表情で俺を見た。 「……ん」  寝ぼけているのか、いつもと変わらずぼんやりしているだけなのかは分からない。  シチは俺の方に腕を伸ばしている。 「いくつだっつの」  とても成人男子のやる事とは思えないが、惚れた弱みだ。どうしたって可愛く見えてしまう。  横になっているシチに近付き、誘われるがまま覆いかぶさる。 「体、痛くないか?」 「いたい」 「だろうな」  結局、昨晩は身内が夏祭りから帰ってくるギリギリまでセックスをしてしまった。  俺自身は物足りなさを感じていたが、後始末の事を考えるといつまでもヤッている場合ではない。それでも、何度もシチにナカ出ししたし、無理な体位も強いてしまった。シチが体の痛みを訴えても不思議じゃない。  シチの頬にキスをすると、シチがくすぐったそうに顔を背ける。 「起きられるか?」  上体を抱え起こしてやろうと、シチの背中に手を回す。  ――瞬間。 「うぉッ!」  背中に回されたシチの手が、力強く俺を引き寄せた。  思わずシチを押し潰してしまいそうになり、慌てて両腕で体を支える俺の耳元で、シチが囁く。 「あさの」  触れ合った下半身から、シチの逸物が勃ち上がっている事に気付く。  朝の……朝勃ちの事を言っているのだろう。 「朝は、姉夫婦がいるんだぞ」  居間には、親戚や家族が揃っている。そんな事、シチだって分かっている筈だ。  しかしシチは、俺を放そうとはしない。 「こえ、ださないから」  体が痛いというのは、嘘なのだろうか……そう疑ってしまう程、シチの提案は予想外のものだ。  だが……ここで拒める程、俺は枯れちゃいない。 「一回だけだぞ」  そう言って唇にキスを落とすと、シチは嬉しそうに微笑んだ。

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