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【逢瀬】桜咲輝 前
俺には内緒の恋人がいる。
この関係は俺たち二人だけの、ひみつ。
だって、俺の恋人は、親戚のおじさんなのだからーーーー
今日、恋人の治彦(はるひこ)おじさんと俺は京都の旅館へと旅行へと来ている。
言い出したのは俺から。
普段人前でイチャイチャできない分こそこそとホテルや治彦おじさんの自宅で愛を紡ぎあっていたのだが、それでもなお寂しくなる時がある。もっと恋人らしく振る舞いたいと。
そして思い立ったのが、俺たち二人の顔見知りが居ない県外でならば、目一杯イチャイチャできるのではないかと。それを打ち明けてみれば治彦おじさんはすごく喜んでくれて、お互いの予定を確認し、俺の親にもうまく話をしてくれて、こうやって今、宿泊先である旅館でのびのびと過ごしている。
「浴衣、とてもよく似合っているね」
治彦おじさんはそう言って俺の腰を撫でてきた。
「こ、ここ廊下だよ!?」
「いいじゃないかこのくらい。減るものじゃないだろう?」
「で、でも人に見られたら恥ずかしいし......じゃ、じゃあ、あとで!あとでいっぱい......」
『俺のカラダ、おさわりしていいから、ね?ダメ?』
湊(みなと)はそっと治彦へ耳打ちした。
治彦は眉間のシワを押さえ、湊に目をやる。
「キミはどこでそんな事を覚えてくるんだ......」
相変わらず湊はキョトンとしている。それが余計に複雑なのだ。
「あっ......んっ......いやっ、そこっ......」
温泉から上がって部屋に戻った俺たちが真っ先に向かったのは、座敷布団の上だった。
「どうした?......ここが、そんなに気に入ったのかい?」
そう言って治彦おじさんは、俺のイイトコロを攻め立ててくる。
「あぁぁぁぁ......あっ、あぁ、はぁ......」
その瞳に映り込む熱を全身で感じながら、俺はあっけなく果ててしまう。
「湊くんはまだまだ若いねぇ......おじさんはまだイけそうになくてね......」
「俺の体じゃ、治彦おじさんを満足させられないの......?」
「そ、そうじゃないんだよ湊くん!!ただやはり、この歳になってくるとね......私はもう四十代半ばだからね」
「じゃぁ、俺ともっとえっちしたら......射精できる?」
「治彦おじさんのせーえき、ちょうだい?」
この少年は、無自覚なのか自覚的になのか、度々こうやってあからさまに煽ってくる。
「キミは本当に......大人を惑わせてしまうイケナイこどもだね」
「いけないの?」
「いけないね。すっごく危ない子供だ。目を離したらすぐ悪い狼に食べられてしまいそうだ。だから、今のうちにしっかりと私を教えておかないと」
言い終わると同時に湊のナカを、己の欲でトロトロにしていく。湊は私の体しか知らない。もっともっととキュウキュウ締め付けてくる具合も、奥へ促そうとする蠢きも柔らかさも、体内の温かさも、全てが甘く誘ってくる。こんな体に仕立てあげたのは私だ。私の身体を湊の身体は覚えきっている。
「あうっん......も、っとぉ、あぁ、あっ、はるひこおじ、さんの、おちんぽ、すき......らから、もっと、ちょうらいぃ、あぁっ」
この物言いも私が教え込んだものだ。
初めは恥ずかしがる湊に続きをして欲しかったらどこをどうして欲しいのかちゃんと言ってごらんと、半ば強引に言わせていたのだが、今や自分から縋ってくる。なんて可愛いのだろうか。
これがまた美少年であり、着崩れた浴衣が存在の危うさを一層引き立てた。極め付けにはその麗しい唇で卑猥な言葉を紡いでゆくのだから、正直なところ腰にクるものがある。
治彦は舐めるように、自分の下で乱れる愛しい子供を見つめた。
「じゃぁ、もっと湊くんに頑張ってもらおうかな」
「うん!おれがんばるね......!」
あぁなんて健気なのだろう。こんな美しい子供を俺は穢している。その背徳感がなんとも言えない。もしこれが計算尽くだったとしても、俺は喜んでそれに騙されるだろう。
年甲斐もなく少年に夢中になっている。
背徳の味は甘かった。
【おまけ】
「ん......治彦おじさん、おはよう」
「おはよう湊くん、体が大丈夫そうなら朝風呂でもどうだい?」
昨夜は盛り上がってしまい湊が意識を飛ばすまで行為に及んでしまったのだ。
その後体を拭いたりと後始末はしたものの、隅々まで洗うことは叶わなかった。なにせ治彦自身も疲れていた。
「うん、はいる、一緒に入る」
覚醒しきっていない頭でぽつりぽつりと言葉を繋いでいく姿がなんとも愛くるしい。
恋人として感じる愛おしさと、自分の子供のように慈悲む愛らしさ。
治彦は無意識のうちに湊の頭を撫でていた。
「も、もう!またそうやってすぐ子供扱いする......」
「いいじゃないか。可愛いのだから」
「かわいいって.......」
こんな日常が、いつまでも続くことを俺は願っている。
湊と迎える朝が、いつかは毎日のことになればと、そう思った。
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