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第2話 可愛いなきごえ

「ん… っはぁ! 待って、何も準備してないのっ!」 「気にしないって言っただろ」 「僕が気になる!」 玄関に着き、我慢できずに何度も何度もキスをすると、腰が砕けたのかアルトは床に座り込んだ。 「手伝うぞ?」 「やだよ。自分でできるから」 「恥ずかしがってるのか?」 「ジンが手伝うと我慢できなくなっちゃう」 伏せ気味な顔を左右に揺らし、立ち上がったアルトは危なっかしい足取りで風呂場へと向かった。 ――さあ、どう頂くかな。 リトが生まれてから、罪悪感がどうのこうのと言うアルトのせいで思うように味わうことができなかった。特に歩けるようになり、好奇心旺盛な歳になった我が子が同じ家にいるのに、集中してやりたいようにヤレなかった。 ベッドにバスタオルを引き、必要な小物をあれこれサイドテーブルに並べていると、かちゃりと扉が開いた。 「綺麗だな」 「そんなことないよ。重力に負けだしたもん」 バスタオルで下半身を隠したアルトは部屋の隅で恥ずかしそうに立っていた。 「おいで」 手を差し出すと、一回り小さい手が乗せられた。 ぐっと引くと、はらりとタオルが落ち、色白の肌が目に映った。 重力に負けるなんて、嘘だろう。初めて目にした時のように、アルトの身体はきめ細かく滑らかで触り心地がいい。 「んっ」 背中に指を這わせ、下から上へ、うなじから胸へと手を滑らせていくと、可愛い喘ぎ声(あえぎごえ)が聞こえた。 「声、我慢しなくていいんだぞ」 「だって…ああっ」 桜色の飾りをつまむと、俺の聞きたかった声色が響いた。 優しくくるくると撫でるより、少し強く爪を立てた方がアルトは感じる。 グッと力を入れると、ハクハクと吐かれる息に色がついていた。 「乳首だけで勃っちゃったか」 ぐりぐりと強めに押すと、線の細い背中が反れる。 空いている手で、主張しだしたアルトの欲を触ると力の入らない指が俺の肩に添えられた。 上下に扱いていくたびに、先端から漏れ出し滑りが良くなっていった。 「ジン、ジン、おね…ぁぁ、おね、がい。もう入れて」 「ちゃんと解さないと入らないぞ」 「自分でもうやったから、大丈夫。もう、入れて」 「自分でって、自分の指で解したのか、アルト?」 「ん、だって、早くジンの入れてほしくて」 うるうると大きな目に涙を溜めてそんなことを言われ、我慢などできるはずがなかった。 「前がいい?後ろの方がいいか。久しぶりだからな」 「や、だ。顔見たい」 そう言うとアルトはベッドに寝そべり、両足を大きく開いた。 「ジン、早く来て」 広げられた両脚を掴み、先端を宛がうとコクリと可愛い音が聞こえてきた。 「力、抜けよ」 先を入れゆっくりと押し込むと、ぎゅっと俺の欲が包み込まれた。少し痛いくらいにきついが、アルトの中は温かく、生きているかのように蠢いている。優しく浅く腰を動かしていると、もっと奥へと言うかのようにアルトの足が腰に巻きついてきた。 「ああぁ!あっあっ!」 最奥を目指して進めば進むほど、出て行かないでと言うかのようにアルトの身体が絡まってきた。 「っん!も、や!あぁ!ジ、ン!も、っと!奥、擦って!」 「アルト、煽るのはやめろ。俺の理性をどうしたいんだお前は」 「あ、煽ってない!だって、奥に、お、くに、ほしい、の!ジンの、おっきいの!」 「ああ、マジで覚えてろ」 我慢が利かなくなった俺はアルトの腰を掴み、挿入を速めていった。 「あああ!もうでちゃう!もう、だ、め!や、や、やだ、とまって!」 「出しちゃえ、アルト。何度でもイケ」 「いやぁぁあぁ!イク!」 「俺も…!」 白濁が俺の胸に飛び、アルトの顔にかかると、俺たちはぐったりと体をマットレスに預けた。 「顔にかかってるぞ」 「これ、僕の?」 「さあ、どうだろうな。舐めたら分かるか?」 「…変態!っあ、まだ動いちゃダメ」 「何言ってんだ、これからが本番だぞ」 「っえ、いや、あぁぁあっ!」 ーーーー 「ただいまーーーー!あれ?パパは?」 「ああ、パパは疲れて寝てるよ」 「パパ疲れたの?」 「そうだ、リトが学校で勉強している間、運動してたからな」 「そうなんだ。パパー!おつかれさまぁ!」 夕飯の準備なんてできる状態ではなかったアルトに、俺とリトは出前を頼もうと決めた。

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