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オメガ編2

「そろそろ番を作れと、両親が五月蝿くてね」  唐突に彼がそう言った。 「今度オメガとのマッチングパーティに出るんだ。……お前も来るかい?」  パーティには最上級のオメガたちだけでなく、優れた独身のアルファも数多く出席するという。 「もしかしたらお前の運命の番も、そこで見つかるかもしれないよ」  屈託無く笑う彼に、僕も笑顔で応える。  胸が激しく痛んだけれど、それはすぐに押し殺す。  アルファの言葉には逆らえない。  彼が喜んでくれるなら、それでいい。  だけど本当は……少しだけ、疲れてしまった。  自分から望んで始まった関係だけど、僕の思いが彼に届くことはない。  それが無性に悲しくて、苦しくて。  どれだけ支配されても、心が満ちることはなかったのだ。 ――やっぱり僕は、出来損ないのオメガなんだ……。  ベータの家庭に生まれた、唯一のオメガ。  ヒートが来るまでずっとベータだと思っていたからなのか、僕の考えは普通のオメガと違うらしい。  学生時代、クラスメイトたちに散々「オメガらしくなれ」と言われ、僕自身頑張って努力してきたけど……やっぱり僕は、本当のオメガにはなりきれないようだ。  きっと彼も、僕が出来損ないだから、少しの愛も与えてくれないんだろう。    離れなきゃいけない。  でも離れたら僕はどうなる?  先の見えない未来を思うと、不安だけが募っていく。  マッチングパーティーに出席しても、運命の番に会えるとは思えないけど、彼の言葉には逆らえない。 「僕も出席します。パーティーで、あなたの運命の番が見つかるといいですね」  激しくざわめき、泣き叫ぶ心を無理やり押さえ込んで、僕は笑顔を作る。 「あぁ」  彼は笑って、そう答えた。

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