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プロローグ

その写真を見たときの衝撃は今でも忘れない。 一面に広がる菜の花は燦々と輝く太陽の光に照らされて光を放ち、雨なのか朝露なのか雫を滴らせて生命力に満ち溢れている。蒼穹(そうきゅう)を漂う白い雲は自由を謳歌して大地を見渡していた。 しかし、菜の花よりも空よりも雲よりも何よりも、写真の中で小さな子どもを抱く母は、輝いていた。

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