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第5話

目が覚めたのは、翌日の朝だった。 運命の番を見つけたという俺の発言に驚いた母は、それよりも顔面蒼白なことの方が重大だとベッドに連れていき、看病してくれた。体調が回復し始めた頃、俺は母に事の次第を説明した。すべてを聞き終えると、母は俺の頭を撫で、涙目になりながらも笑顔を見せてくれた。「あなたは幸せになれるわね」と、とても嬉しそうな笑顔を。 昨日はだれにも連絡を入れずに学校を休んでしまったから、ケータイには友人から安否を尋ねるメッセージが届いていた。それに今日は行くよと返し、ありがとうと話すうさぎのスタンプを付ける。それ以外に、もう1件、メッセージがあった。 あの人だ。 少しドキドキしながら名前をタップすると、体調を尋ねる内容と、もし嫌でなければどこかで話をしようといった旨の話題だ。 正直、初対面の人にそんなことを言われたら何事かと疑うだろう。しかし、俺は迷わず肯定の意を示す返事をしていた。 強くて気高い印象だったけれど、少しの間話していて、とても優しい人なんだと感じた。黒く輝く瞳は凛々しさを宿し、じっと見つめられたら女性はコロリと恋に落ちてしまうだろうと思う。実際、俺がドキドキしてしまうんだから……。 「……あんな人が運命の番だなんて」 同年代より少し小さな背と貧相な体つき、Ωのせいか男らしいとはかけ離れた顔。鏡の前に立ち、なんだか恥ずかしくなってしまうような姿を見て、浮き立つ心が少しズキンと痛んだ。

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