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卒業旅行/おまけ 康介の心境

ロープーウェイの件はビビったけど、修斗さんはそれからはすっかり元気でいつもの調子。関西オバちゃん連合からも解放されてやっと気分的に落ち着いた。 あのオバちゃん達、相当うるさくてうんざりだったけど、でもよく考えたら俺が修斗さんと付き合ってるってわかっても変な顔もせず、何も変わらずに寧ろ応援してくれた。 なんだよ、いい人じゃん…… いまだに俺は後ろめたいなって思ったり、修斗さんなら他に可愛い女の子と付き合った方が幸せなんじゃないかとか、そんな風に考えてしまう事がある。しかも卒業して離れ離れになんかなったら尚更…… 修斗さんの職場は女の人ばっかだって言うしさ、ますます俺、自信なくなっていたんだよね。 でも全く知らない人達に「頑張れ」って応援されて、凄く嬉しかった。 「修斗さんもう大丈夫ですか?」 展望レストランでの食事を終え、各々時間を過ごしてから下山することにする。竜と周さんはハイキングコースを散歩すると言って行ってしまったけど、俺は修斗さんの体調が気になったからビュースポットとかいう所で二人で記念写真を撮る事にした。 「康介心配しすぎ。平気だよ。それより凄いね。絶景!」 修斗さんは楽しそうに、断崖絶壁の際どいところまで進んで行く。 「………… 」 この人の高所恐怖症の基準がよくわからない。こういうのはあまり怖くないらしい。 風に吹かれた修斗さんの髪がキラキラと光に反射してなんだか見惚れた。 「修斗さん……」 俺はそっと近づき、修斗さんの腰に手を回す。ビクッとして俺の腕から逃れようと腰を引いたけど、俺はグッと抱き寄せた。 「……いいの。どうせ誰も見てませんて」 「………… 」 修斗さんは自分からはくっついてきたり好きだと言ったり、俺のことを揶揄って楽しんでるとこあるけどさ、俺からされるのは苦手なんだよね。 恥ずかしがっちゃって。 「修斗さん……好きだよ」 「は? どうしちゃったの?」 修斗さん、耳まで真っ赤にしちゃってる。 「どうもしないです……研修、頑張ってね。俺、ちゃんと待ってるから。帰ったらまたいっぱい遊んでね」 「……うん。いい子で待ってて。電話もするから康介の声、ちゃんと聞かせろよ」 修斗さんが俺の体に体重をかけてくる。 ……やっぱり寂しいな。一ヶ月って長いよね。 「やっぱ寂しい」 弱音は吐きたくなかったけど、でもたまには素直にちゃんと気持ち伝えないと……なんてガラでもないこと考えちゃって。思わずぽろっと出た本音。零した途端に恥ずかしくなる。 「うん。寂しいからって浮気すんなよ」 浮気なんてするわけない…… 「ちゃんと俺のこと、待ってろよな」 相変わらず顔を赤くしたままの修斗さんが、俯き気味にポツリと呟く。 「………… 」 「返事は?」 「……はい」 きっと修斗さんも俺と同じ気持ちなんだ。ちょっと安心した。 「そろそろ行きましょうか」 俺は修斗さんと手を繋ぎ、ロープーウェイ乗り場へ向かった。 ── おまけ康介の心境 終わり──

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