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プロローグ
キーボードを打ち続けていた手を一旦止め、グッと背筋を伸ばした私は、疲労の滲む息を思い切り吐き出す。
作成しなければならない書類は、まだまだある。
今日もまた残業だな。
まぁ、残っているのは私だけではないから、余り文句(もんく)も言えまい。
それに、今日は水曜日だ。
23時になるまで、時間を埋めると思えば良い。
会社を出たら――
その後の事を考えただけで、俄然(がぜん)やる気が出てきた。
他の社員の邪魔にならない程度に腕を回して、肩のコリを解した私は、書類の作成を再開する。
疼く股間を抑えながら……
* * *
23時――
どうにか仕事にけりが付いた私は、まだ残っている数人に挨拶して、そそくさと会社を後にした。
自宅のアパートへ帰る途中に、近道の公園がある。
公園と言ってもそこそこ広いだけで、遊具などはほとんど無い。
ただ大半が林になっていて、東西の入口に設置された花壇と、二通りの道があるだけ。
公園を一周する道と、東西に真っ直ぐ突き抜けた道。
そして、真っ直ぐ伸びた道の丁度真ん中に、今日も彼はいた――
*
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