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その後

「ンあっ……はァ、あぁ……」 背中に降りかかるシャワーの中、彼の指に後孔をほぐされて、グチュグチュと卑猥な音が響く。 タイルの壁に手をついて、お尻を突き出した姿勢が恥ずかしい。 同時に、ゆっくりと丁寧な指の動きがもどかしい。 「は……はや、くぅ……」 「ダ〜メ、もう少し……」 「あぁう……っ」 彼の指に内壁を擦られると、全身がゾクゾクとして、私は天井を仰ぎ喘いだ。 気持ち良い所を的確に刺激され、自身からがまん汁がトロトロと溢れて止まらない。 「あんたのナカって、意外と柔らかいよな……」 彼に言われて、私は内心ドキッとした。 まさか、彼との情事を思い出して、一人で弄っていたなんて、恥ずかしくて言えない。 「なぁ、どうして……?」 「ふあっ……あ、あっ、やぁ……っ!」 急に激しくなった指の動きに、私はイく寸前で堪えた。 限界まで張り詰めた自身がジンジンする。 「……俺以外にも、そんな顔を見せたの?」 「へ……な、なに……?」 思いがけない言葉に戸惑っていると、彼はあっさり指を抜き、間髪入れず肉棒を挿入してきた。 「うあっ、あっ、あ、ああああぁぁぁっ――――!!!」 ビチャッと、タイルの壁に白濁が散る。 私は水槽から出された金魚のように、ハクハクと息を弾ませた。 一息に最奥まで突き上げられ、何も考えられなくなるほど強過ぎる快感に、全身が痙攣する。 「エロいイき顔……あんた、他の人ともこんな事してんの?」 これは――嫉妬? どこか怒っている彼の低い声に、私は必死で首を振った。 「ちが……」 「何が違うんだよ?」 私は射精して疲れた身体を無理やり捻ると、辛い顔をする彼の頭に手を伸ばす。 「ン……君だけ……だよ……一人の、時も……」 「一人の時も、って……ええっ……!?」 「――――!?」 驚き顔を真っ赤にする彼に、私は自分の失言に気付いた。 思わず身体に力が入り、彼のモノをキュッと締め付けてしまう。 それで確信を持ったのか、彼はあくどい顔でニヤリと笑った。 羞恥に顔を熱くした私は、見られないようにそっぽを向きつつ、なんとなく彼の髪を撫で続ける。 彼がくすぐったそうに「ククッ……」と笑った。 「なぁ……例えばどんな事をしてたんだ?」 彼の言葉を聞いてドキッとした私は、彼の濡れた髪から手を離し、自分の顔を隠してタイル壁に向き直る。 恥ずかしい……。 もう耳まで赤くなっている気がする。 こんな時、どうすれば良い? ぐるぐると考え込んでいると、不意に彼の手が前に伸びてきて、私の自身を両手で握った。 「例えば、こんな感じ……?」 「あんっ……や、あぁ……!」 達したばかりの自身を両手で扱かれ、感電するような痺れが全身を駆け巡る。 自分でするより、何倍も気持ちが良い。 「なぁ……一人でどんな風にやってたのか、教えてくれよ」 彼の甘く低い声が鼓膜を揺らし、背筋にゾクゾクと震えが走る。 「乳首とか弄った?」 「ふぅっ……ち、乳首……は……あんン……やって……ない……あゥ……前と、後ろ……だけ……ふあぁ……!」 自分で言うのは恥ずかしい。 恥ずかしいのに、なぜか興奮してしまう。 「じゃあ、こんなのは?」 彼の片手は竿を上下に扱きながら、もう片手で先端を包むように捏ね繰り回す。 「あぁ……っ! それ、ラメぇ……!!」 強い快感が腰を貫き、放出したばかりの熱を再燃焼させる。 「もうこんなに硬くなった……裏筋と先端、どっちの方が気持ち良い?」 「ぁあっ……わ、わかんな……ヒアッ……!」 鈴口を彼の指先に抉られ、身体がビクリと跳ねた。 今イったばかりだと言うのに、扱かれている自身が、どんどん熱を持っていく。 腹の底に欲望が渦巻いて、頭がおかしくなりそうだ。 「ぁン……!」 狂いそうになる快楽を堪えようとして、お尻に力が入り、彼の熱棒を締め付けてしまった。 すると前だけに集中していた意識が、少しだけ分散し、後ろで動かない彼の熱がもどかしくなる。 今にもイきそうだったのに、もう気が散ってしまって、後一歩で達する事ができない。 「アッ……後ろ……突いて……んン……」 我慢できなくなってねだると、後ろから小さく「クッ……」と唸る声が聞こえ、彼の雄が私の内で一回り大きくなった。 「はぅ……!」 思わず変な声を出してしまい、彼にクスクスと笑われる。 「あんた、可愛過ぎ……」 そう言って腰を引いた彼は、前立腺を中心に、浅い所ばかりを突き上げてきた。 「やあっ……そこ、ラメ……」 腰の所がゾクゾクする。 喘ぎが止まらない。 カクカクと小刻みに擦り付けられる彼の熱に、感じ過ぎて涙が出てくる。 「ンぅ……も、イくっ……イくぅ……!」 限界間近まで上り詰めると、急に彼の手が、私の根元をキュッと締め付けた。 ――って、これじゃイけない。 「やっ……な……で……?」 「ビックリさせられたから、そのオ・シ・オ・キ」 「………なっ!?」 低く囁いた彼の言葉を頭が理解して、身体がゾクリと震えた。 「ン……今、キュッて締まった。興奮してる?」 「そ、そんな事――ふあっ……あぁっ……!」 私は喘ぎながら、何度も首を振った。 「違う」と言いたいのに、身体中を快感が駆け巡って、頭の中を真っ白に染めていく。 開きっぱなしで閉じられない口の端から、唾液が零れ落ちていく感触さえ気持ち良い。 「あ……も、らめ……あっ、あ、ああああぁぁぁっっ!!!!」 一瞬の浮遊感の後、目の前が真っ白に染まった。 全身が痙攣して止まらない。 「な……なに……コレェ……」 射精していないのに、何度も絶頂に達しているような感覚に、気が狂いそうだ。 感じ過ぎて、涙が止まらない。 「フフッ……ドライでイくの、初めて? 凄く可愛い……ご褒美あげる」 「あぁ……ま、待って……あああぁぁ!!!」 ゆっくりと最奥まで突き入れられた私は、また彼の手にシコシコと前を扱かれた。 射精できなかった竿はすぐに硬くなり、快感が腹の底で渦巻き煮えたぎる。 「ぁあっ……くる……クるぅ……ッ!!」 強過ぎる快感に身体はガクガクと痙攣し、頭の中が真っ白に染まって行く。 そして限界に達した時、ひときわ激しく身体がしなり、目の前がチカチカと明滅した。 私の絶叫と共に、白濁が勢いよく迸る。 少し遅れて、とろけるほどに甘い熱が腹部に広がった。 二人分の荒い呼吸音が重なり、じんわりと幸福感に満たされる。 無性にキスが欲しくなり、私が振り返ると、分かっていたかのように彼の唇が触れてくる。 「愛してるよ……」 彼の繰り返すその言葉に、私はうっとりとしながら、同じ言葉を返す。 何度でも、何度でも…… ……END.

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