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第31話
「…っ……」
大きく数度、身体を震わせ、レイレスは精を吐き出した。
ぐったりと身体が弛緩させ、草の上に身を投げ出す。
白んだ視野を正そうと瞬くと、白い己の胸が見えた。
荒れた呼吸を繰り返す都度に、上下している。
その向うに、唇を拭う、エィウルスの影が見えた。
「エ…ィウルス…」
呼べば、その影は覆うようにレイレスを下草に押し付けた。
「レイレス」
「…っ」
間近に見える銀の双眸は、痛みを庇うように細められている。
その思惑が汲み取れずにただ見つめると、闇から伸びた指が、レイレスの唇を撫でた。
「…ぁ…エィ…ウルス…」
呼べども、ただ静かに、銀の双眸は見つめ返した。
その唇が、目元に降りる。
思わず閉じた瞼に、口付けが静かに落ちる。
一度、二度と口付けた唇が離れる気配を感じ取り、レイレスは瞼を開けた。
覗き込む、白銀と視線が絡み合った。
「…美しい、この、瞳…」
そう口にするその瞳に映るのは、己の金の瞳。
間近に重なる双眸が、鏡のように映していた。
「見…るな…っ」
弱点を見つめられたような錯覚を起こし、レイレスは首を捩り隠す。
エィウルスは仰け反ったその首に、唇を寄せた。
耳元までその舌がなぞり、肌をきつく吸い上げる。
「…っ…ぁ…!」
唇を防ごうとした腕を磔のように掴まれ、その手首を甘く噛まれた。
「やめ…、も、う…っ」
やめろ、と制止しようとする己の声が震えていた。
見れば、自分を組み敷くエィウルスの体躯が己のものとは全く違うことに気づく。
幾重にも浮き出た筋は、太く、靭やかな獣を思わせる。
それに重なる、少女のように華奢な己の白い腕。
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