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第6話

「旦那様」 「桜雨。体はどうだい?」 「はい。まだ少しだけぼんやりしますが大丈夫です。」 あの箱に入っていた証拠たち。そのお陰で彼を葬った階乗グループを裁くことができた。 階乗グループは私たちの会社に統合し皆には不安を与えないよう尽力した あの日…桜雨の姿のままの彼の最後の言葉が私の中で繰り返されている 「青葉。私はいつでも側にいる。だがもう抱き締めてやることも睦まじく絡むことも叶わない…でもね青葉。私は君に笑っていて欲しい。君を愛する者を見落とさないで欲しい。君はもう先に進むべきだ。私のことを忘れて欲しいなんて言いたくはないが…でも青葉がずっと一人で悲しみにくれる姿はもっとみたくない。だから…私からの最期のお願いだ…桜雨の手を取って…私が彼の体を借りられたのは彼の思いが私と相違ないからなんだよ。青葉。愛していたよ。誰よりも君を…君の笑顔がまた見たい。幸せになって。もう私は行かなくちゃ…さよなら…青葉」 その言葉が消え桜雨が倒れ込んでくる。私よりも背が高くしっかりとした体躯の桜雨の体を支えるのはそう容易ではなかったが何とか運び眠らせた。 本当は数年前から気がついていた。桜雨の想いに。しかし…私はその手をとることを恐れていた。手を取ってしまえば彼を忘れてしまうことになるんじゃないかと思うと怖かった… でも彼の…他ならぬ…誰よりも愛した彼の言葉だから…私は… 「ねぇ。桜雨。私と添い遂げてくれるかい?」 桜雨の色素の薄い瞳からはらはらと雫が溢れ私を抱き締めた… 「勿論です…誰よりも貴方を愛しています…青葉さま…」 そうして私たちの影は1つとなり甘い囁きは涙雨と共に流れ落つ…優しい雨と貴方の柔らかい声と共に… 完

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