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第5話
「青葉。君は信じられないかもしれないね。私はどうしても君から離れがたくて桜雨に体を借りたんだ」
「そんなこと…」
「そうだよね…信じられるわけがない。ではあの日のこと覚えているかい?私がこの命を失ったあの日…」
「…っ…」
その日は桜雨には暇を出していた。母親の命日だったからだ。だからどこかで見ていたということはない…
「あの日…私たちをあんな目に遭わせたのは…階乗グループの傘下である会社の社有車だった…君は見ていなかっただろうね。あからさまに君を狙っていたんだよ…その日から遡ることそうだな…半年ほどだろうか君の回りには奇怪なことが多く起こっていただろ?君は偶然だとか言って本当に何でもないように過ごしていたのだが私はそれらがとても気になり調べていたんだ。沢山出てきたよ。あそこの仕業という証拠がごろごろとね。」
「え?」
「階乗の息子の交際の申し出を君は断ったでしょ?それから彼は君に執着するようになってそしてあの日自分のものにならぬのならとあんなことを」
「そんなの…」
「私の使っていた部屋に向かってくれるかい?」
「桜雨の?」
「いや。私のだ。この一度でいい。信じられないとは思うが騙されてくれ」
勿論半信半疑だが桜雨がそんな意味のない嘘をつく必要はないしそんなことするようなものではないことを私が誰よりも知っている
彼が亡くなって近付けなかった彼の部屋の扉を開ける。中は使用人が掃除をしてくれているのか綺麗なものだった
「あの机の右の一番上の引き出し。そのそこに隠し箱がある。それをあけてくれないかい?」
言われた通りにするとそこから本が出てきた。本を開くと中は普通の本だ
「本?」
「その278頁。そこに入ってる」
そこに入っていたのは…
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