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第2話②※

 ノエルの温かい息が首筋に当たる。  その息は、首筋に絡みつき吸い上げられるのを感じた。 「……ぁ」  我慢するつもりだった声が漏れる。 「ふふ、声が幼くなったから可愛いね。俺でも楽しめそう」 「……ッ」  コウの時と違って手も何も縛られてはいない。逃げようとすれば出来る筈だけど、ノエルに優しく愛撫される度に身体が火照ってきて動けなくなっていた。  ルゥは今、とても美味しい表情を相手に見せている。 「俺と遊ぼうよ……」  もう彼にバレている。ルゥにはそうとしか思えなかった。  上の服がゆっくりと捲れてゆく、そのままノエルの舌が乳首を捕らえて吸い上げる。恥ずかしさでどうにかなりそうなのに声が、溢れて止まらない。 「…俺達夢魔は、同士で体を触りあう事でエネルギーを一緒に蓄える事が出来るんだけど、普通の夢魔は人間界へ行って集める。殺すんじゃなくてを少しもらうだけ……」  まるで勉強会の様に教えながら、片方の手がルゥの下半身へ伸ばされる。 「…んぅッ!」  手の感触……。身体がビクっと驚いてしまう。  そのまま転がされるようにうつぶせにされて、地面に顔をうずめたルゥ。  ノエルは手を蕾に当てゆっくりと、指を入れ始めた。 「腰……あげなよ。そうしないと、辛いよ?」  言われるがまま、腰をゆくりもちあげる。今は、四つん這いの体制だ――― 「ん―――……んんっ!」  最初はゆっくりだった指の動きが、早いピストン運動になってゆく。  それは、痛みより気持ちよさが身体をつきはじめた。 (ぃやだ、おかしくなり…そ……)  腰を動かしてしまったら自分の何かがへし折られそうで、動かすことが出来ない。動かさない腰と足は、ガクガクと震えが起こってくる。  そんな事をしていると、まだ触られてもいない自分のペニスがむず痒く感じ始めた。だが、そんな姿もお構いなしにノエルは言葉を続けた。 「普段は、俺達みたいな事を夢魔達はしない。でも、利点があるんだ」  指が相手の蕾を更に広げるように2本目がゆっくりと入り込む。 「エナジーを相手に吸い取られる心配がないんだよね」  指のピストンの速度は落ちることなく、早くなることなく一定の速さで動かされる。顔を赤くするルゥ。快楽が身体を蝕むのか、何も考えられない。  きっと、ノエルの話も耳に入っていないかもしれない。 「それだけじゃない、こうやって――」  銜えさせられていた性器を口から離されて、仰向けにさせられた。  足を上に持ち上げるとルゥのお尻へ摺り寄せた。  自分の格好に恥じらいを感じた少年は、腕で涙が溢れる赤い顔を隠す。  そして、次に感じてきたのは、痺れる感覚だった。前とは違い、痛みよりそっちの方がまさっていく。 「――う……ぁあッ!」 「吸い、取られる心配がないって事は、俺でも味わって楽しめるって事だ。ずっと、ずっとね」  エナジーを取られないと言う事は、死なないという事。  それは今の状況、ノエルが良いと言うまで、ずっと―― 「…い……や…ら」 (ずっと……こんな、事を……?) 「凄い。とろけそうだよ。う……」 「あ……あ、あ…あぅ」 「ふふ、泣いてたのに、良い顔になってきてる」  そう言われると否定をする 「だ、誰が…そんな――違うに、決ま……て!」  その否定を腰を強く御尻の奥へ押し込むようにして、言葉を拒否された 「ひゃぁ……ん…」 「に口がなってないよ。シフォン様からは『敬語』使うようにと言われてるんだろ?」 「ふぇ…ご、ごめん……な―――」  相手が腰をうごされる度に、いってしまう。  まるで心太状態――― 「こんなに気持ちよさそうな顔が出来るのは…シフォン様の、おかげかな?」  そう言われて、顔を更に赤らめて否定をする。 「ち、ちが……そんな…ぁ!」 (信じない―― 絶対)  自分を否定する。最初の快楽を教えられた相手が、自分を作り変えたなんて、誰が信じたいものか……。 「…またイったの?俺、まだいけないから頑張ってよ」  良い笑顔で言われても、頭が真っ白で反応が出来ないルゥ。  体制を騎乗位にされつつも、動くに動けない……恥ずかしさと快楽で涙が溢れるばかりだ。  すると腰を押さえつけられ、ノエルが座った姿勢で腰を動かされる 「ひ、ヤッあ!!」  間抜けな声を上げながら、涙を流す相手を尻目に、ノエルは何度も身体を突き上げた。 「あ、あぁ……ゆる……て……もぅ」 (これじゃ、生き地獄だ……)  恐怖と快楽に押しつぶされそうになるルゥは、慌てて命乞いをする。 「だーめ」 *** ** *  時計が時間を刻む音が聞こえる……カチッ…カチッ…まるで揺り籠がゆれるように、その音を耳に目を覚ますのは、ルゥだった。  場所は自分が使ってる部屋にあるベット。  どうやら、また気絶してしまったようだ。今回は何度もされた結果疲れて眠ってしまったみたいだ。  横になったまま天井を見て考える。何をしていたか、何をする予定だったのか、起きたばかり頭を働かせようと必死に。 (確か、ノエルと買い物へ――!)  思い出すと、慌てて体を起こした。  さっきまで着てたのとは別のだったが、服はちゃんと来ていた。 「おはよう、ルゥ」  そう声をかけてきたのは、ノエルだった。顔を見て慌てて逃げようとしたが、足に力が入らずバランスを崩してベットから落ちそうになる。  それを相手は、支えてくれた。 「動かない方が良いから、俺が無理させたし」 「……」 「さっきはごめんね。あまりにも魅了が美味しくて、沢山味わっちゃったよ」  照れた笑顔でいきなり謝られてしまい、困惑する表情で相手を見た。  遣り過ぎたと感じているような様子が窺える。 「俺の仕返しはこれでおしまい。前のは水に流すわけじゃないけど、今後はお友達として接しさせてもらう」 「……どう、して?」 「俺もさ。魅了を夢魔にとっても味わってみたかったんだよね」  何だかはぐらかされた気がするのは、何故であろう。  ノエルは、側で感じてしまってはやってみたくて仕方が無く。所謂、性欲に負けてしまった。  そしてあの後、シフォンがやってきて叱られたのだと言う。  気絶してしまったので、買い物も出来ないルゥの代わりに今、出かけているらしい。 「声をかけられるまで、すっかり我を忘れちゃった♪」  その顔を見ると、つい許せる気持ちになるのはノエルの魅力なのかもしれない。  それより、シフォンは分かっていたに違いない。  魔法使いの誤算だったのは、買い物前に全てが終わってしまった事くらいだろう。ノエルが耳元で囁いた。 「今後も、たまーにで良いからエナジーの為にやらせて、ね?」  そう言って、にこっと微笑む。  体はフラフラだが、いつもより力が増しているのは分かる。これが夢魔同士の補給であると言う事が勉強にもなったルゥ。 「ありがとう…御座います。勉強に、なりました」  少し照れながらお礼を言うと 「タメ口で良いよ別に」 「え、だけど……」 「先輩だけど、友達だしさ」  それでも浮かない顔をするので、どうしてか尋ねると  ルゥは少し膨れて照れた表情で答えた。 「……最初の頃、シフォン……様の陰口をしたら、お仕置き、された事、あって」 「近くにいたんじゃないの?」  首を横に振った。ソレは絶対にない!と言いたい。  何故ならば―― 「外にいて、小さい声で言った……です」 (そっか、それもトラウマに……まぁ、俺と話すくらいなら大丈夫と思うけど…)  そんな所が可愛いと思うルゥにノエルは言う 「まぁ良いや、気が向いたらそう話してよ」  そう言われて小さくコクリと頷いた。 「私への悪口、陰口、タメ口……そうではなければ、私は怒りませんよ」 「っ!!!」  そう言いながら部屋へ入ってきたのはシフォンだった  驚きのあまり声のならない表情で側にいた。 「失礼ですね、まるで私が化け物のようではありませんか」 「……ははは 間違ってないと思いますけどシフォン様……」  目が合ったルゥは、ハッとして慌てて顔を出す 「お、お帰りなさい。シフォン…様!」 「ええ、ただいま。体は大丈夫ですか?無理させられたみたいですけど」  何度もコクコクと頷く 「……では、私は夕食の支度をします。ノエルもいかがです?お客も久々です」 「はい、ぜひご馳走になります」  シフォンが出て行くと、ルゥも慌ててふらつく身体を起こして布団から出る 「あれ?どうしたの?」 「お――……ぼ、ボクも手伝わないと」  俺と言いそうになった言葉を飲み込んで部屋を出て行く  そして、台所に立つシフォンの元へと向かうのだった。 「だって……シフォン様、ルガーをどうする気なんだか」 「ノエルはどうです?」 「えと……良いや、人です」  シフォンとルゥ、二人は台所に立っている。  ルゥは身長の問題で、小さな台に乗りながら手伝いをしていた 「あの子なら、良い友人になるでしょう。どうやら、ルゥの事情を知ってしまってるようですし」  本当は最初から分かってるのでは…そう思った考えをルゥは飲み込んだ 「……」 「大丈夫、怖い目に何度も合う事はないはず。安心なさい」  気持ちを汲み取るように、そう説明する  何故なのか聞きたいが、今は自分の環境に馴染むのが精一杯だ。  ルゥは小さく頷き「はい」と、返事を返すのだった。 「俺も何か手伝う事あります?」  ノエルが顔を出してきた。 「大丈夫、もうすぐ出来ます。ノエルさん」  ルゥがこの家へ来たのは、偶然ではない。  それを知ってるのはシフォンだけではないが、その話は、また後ほど。

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