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時が経ち、二人の14歳の誕生日。
禁域とされる宮の庭の桜が一斉に咲いた。
最後に咲いたのがいつなのかも定かではない、古い古い桜の木……。
『古(いにしえ)の約定により、年頃を迎えし春日の子を一人貰い受けたい。一年後、迎えに参り候(そうろう)』という書状が届いたのは、美しい満月が夜空を照らす時刻のこと……。
鬼から贄を求める書状が届くのは、実に約二百年ぶり。
双子を隠し抜いていたと思っていた両親は、総て露見していたのだと悟る。
贄の役目を背負った咲耶。
忌み子の役目を背負った咲良。
当然、鬼への贄として送らねばならないのは咲耶の方。
しかし。
明るく聡明で活発な咲耶は、あまりに皆に愛され過ぎていた。
物語は、一年後の「贄送りの儀」の日から動き始めることになる……。
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