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◆◇◆◇◆ 時が経ち、二人の14歳の誕生日。 禁域とされる宮の庭の桜が一斉に咲いた。 最後に咲いたのがいつなのかも定かではない、古い古い桜の木……。 『古(いにしえ)の約定により、年頃を迎えし春日の子を一人貰い受けたい。一年後、迎えに参り候(そうろう)』という書状が届いたのは、美しい満月が夜空を照らす時刻のこと……。 鬼から贄を求める書状が届くのは、実に約二百年ぶり。 双子を隠し抜いていたと思っていた両親は、総て露見していたのだと悟る。 贄の役目を背負った咲耶。 忌み子の役目を背負った咲良。 当然、鬼への贄として送らねばならないのは咲耶の方。 しかし。 明るく聡明で活発な咲耶は、あまりに皆に愛され過ぎていた。 物語は、一年後の「贄送りの儀」の日から動き始めることになる……。

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