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「鬼とて、心までは恐ろしいものではないはず。
滋養にするのは血や肉まで。
魂魄まで滋養にはしないでしょう?
……心だけになれば風に乗って帰って来れます。
だから……私の我が儘を許してください……」
「「………………」」
「さくらぁ……」
「さくら……」
次々と付喪神たちが咲良にしがみつく。
ぎゅうぎゅう抱きついて、「心がわりしてしまえ」と。
幼子の頃から慈しんできた子供を失うのは忍びない。
もとはただの紙だった式神も、幼い咲良と戯れて心を得た。
主である宮司と同じくらいに咲良を可愛いと思い、生活を共にした。
「主だけではないです。
この宮の神職達とて、悲しんでいるのですから」
「………………はい。
分かっています……でも、…………でも、わたくしは………………」
鬼の滋養となると決めてしまったのだ……。
贄送りの儀の朝まで、付喪神も式神も咲良から片時も離れようとしなかった……。
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