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「いみこ……? さくら、それはどういうことだい? ばばに教えておくれ」 「わたくしのいた世界では、対は鬼さまへの生け贄という位置付けでございました。 贄姫の双子にあたるわたくしは、鬼に生きながら食べられる際の苦痛を引き受ける忌み子でございます。 でも…………対が花嫁という意味なら、忌み子の意味は一体……」 「………………生け贄? 妻乞いが生け贄なのかい? なんだかおかしいねぇ……」 ばあ様が言う話と、咲良が知っている話には食い違いが多すぎる。 「こっちでは、嫁いで来た子の分も片割れの子が家をもり立てると聞いていたけど……」 「わたくしの世界では、すべての苦痛を引き受けて岩屋で死ぬ定めでござりました。 あぁ、でも、前回の贄送りの時は……忌み子だった方は労咳(結核)で亡くなられたと巻物に書かれておりました」 三人の様子を見るにつけ、引き受けてしまった自分の馬鹿さ加減にいたたまれない。 咲耶の為のまたとない良縁を潰してしまったのだと思うと、消えて無くなってしまいたい位に。 「じゃあ、咲良は全く知らずに生け贄になりにこの世界に来たんだね? お姉ちゃんを守りたかったんだ……?」 「はい。 咲耶は宮にいる式神や付喪神すら怖がる子でした。 魑魅魍魎がひしめく鬼の世界に連れていかれたら、怖さで心が壊れてしまうと……。 生きながらに食べられるなんて耐えられないでしょうし、正気を失ったまま死んでしまえば輪廻の輪に帰れないだろうと思ったのです。 ああああ……っ、わたくしは何て事を…………っ」 姉を守ろうとした事が結果として無駄足以上の最悪の事態に、咲良は身の置き所がない。

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