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「貴方のなかにあるそれは、なんなのでしょうね。
7歳から姿を変えずに生きてきて、子供子供している貴方が何を心に抱いたのか」
「宮司さま……?」
「子供のまま、可愛らしくて清らかだったのに。
何を覚えたのです?」
姿が見えないのに、詰問してくる宮司が怖い。
「分かりません。
何を覚えてしまったのか、わたくしにも分かりません。
でも、でも……、汚らわしいものではありませぬ」
「ならばよいのですがね……。
ただ、交換は無理だと思いますよ」
「………………え……っ?」
「あの乱暴娘への手紙を忘れたのですか?
あれは、貴方に関する記憶を封じる呪(まじな)いをかけたでしょうに」
「………………あっ、………………っ」
漸く咲良は思い出した。
咲耶が嘆き悲しまないようにと、呪いを織り混ぜた手紙を残して来たことを。
「家族を大事にしたいという貴方の想いはどれだけ深いのでしょうね……。
あれほど強力な忘却の呪いを見たことがありません。
多分、私にも解けないかもしれませんよ」
「………………そんな……っ」
間違えて来てしまったことも、忘却の呪いをかけてしまったことも、全ては自分の迂闊さゆえだ。
全身の血がいきなり凍りついてしまったような気がして、咲良は地べたにへたりこんだ。
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