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ばけつぷりんの次は普通の大きさのぷりんを作り、余った卵液は茶碗蒸しになった。 「鶏肉、椎茸、ナルト、三つ葉、剥きエビ、甘露煮の栗一個、卵液には甘露煮のシロップを混ぜてる……。 地域性から考えても、此方の世界のこの辺りに近い嗜好だねぇ」 「そうなのですか?」 蒸し器をセットした咲良は、目を丸くしている。 「寒い地方だったからか、甘いものが好まれる傾向にございました」 「このあたりもそうだよ」 「そうなのですか……」 よくよく考えれば、此方の世界に来てからの食事には違和感が無かった。 不思議な程に。 「不思議でございますね……。 界を越えて来たというのに、食べ物に共通点があるだなんて……」 「そうだねぇ……」 「本当に不思議だわねぇ」 蒸し上がるまでの間、咲良は他の料理の下拵えもこなした。

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