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直売所で新鮮な卵や牛乳などを買い、麓の外宮に着いたのは10時半であった。
早速厨房を借りてぷりん作りに勤しむ咲良の様子を見るが、やはり此方の世界と作り方は同じ……。
隣で手伝う母も興味津々のようだ。
「まあ……っ、本当に大きいのねぇ。
テレビで何回か見たけど、バケツプリンを作るのは初めてだわ」
「固まるまでが大変なのですが、お皿に出す瞬間が堪らないのです。
つやっつやでぷるっぷるいたしまする」
守弥の実家の家族だけではなく、宮に仕える神職にも作っているようで、バケツプリンは合計五つになった。
「ぷりんを拵えるのは久しぶりでございます。
宮司様や式神の皆様、あと、付喪神の皆様にもお作りしておりました。
ふふ……」
材料を嬉しそうに撹拌する咲良。
一瞬、何かモヤッとしたものを感じつつも、守弥は黙って見ている。
「嬉しゅうございます。
此方の皆様にも味わって頂けるとは……。
腕によりをかけて拵えますゆえ」
バケツ型にゆっくり流し込み、咲良はニッコリ微笑んだ。
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