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「うそ!なんで!?」 「皆で寝てたのに!」 朝になり、目覚めた年少組の子供たちは驚いた。 ぎゅうぎゅうにくっついて寝た筈の咲良が消えていたのだ。 「うさこ!」 「どこにいったの!?」 涙を浮かべて辺りを見れば、アザラシのぬいぐるみもない。 慌てて探し回るが、居間や台所、トイレにもいない。 両親やばあ様も見ていないという。 家の玄関や窓、神社側の戸締まりもされたままだ。 「昨日は満月だったから、うさこ連れて行かれたとかじゃないよね!?」 「兄ちゃんの花嫁なんだから、違うって」 「そうだよ、兄ちゃんの……」 「ね、もしかしてさ」 「「守弥兄ちゃんのとこ!!」」 火傷をした守弥をあれだけ気遣っていたのだ。 きっと、そうに違いない。 漠然とした核心を持って四人は駆けた。 ばぁん! ドアを開け、ベッドに駆け寄る。 「い、いた!」 「うさこっ!」 守弥に寄りそうように眠る咲良がいた。 「…………なんだ……?」 「……………………んぅ……?」 驚いて守弥が起き上がると、つられて咲良もうっすらと目を開ける。 「どうした、四人とも血相変えて……」 「だって、目が覚めたら咲良いないんだもん!」 「そうだよ、うさこいなくて……っ」 「一緒に寝てたのに」 「ふええ……っ」 気が抜けたのだろう。 四人は床にへたりこむ。 「………………おはよう……ござりまする……」 未だ半分夢の中の声。 起き上がりながら目を擦る。 「おは……、…………?」 声をかけようとして、守弥は違和感を覚えた。 パジャマの長袖が七分丈になっている。 すそも持ち上がり、ヘソ出しだ。 「うさこ?」 「えええっ!?」 何より、視線の位置が……違う。 「背が……」 「伸びてる……?」 「「えええええっ!?」」 たった一晩で、咲良の身長は20センチほど伸びていた……。

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