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「儚げで、それでいて芯が強そう。
可愛さと小動物っ気が同居していて、華奢な体つきもしてるし、守弥の好みの直球ストレートど真ん中ねぇ……」
「………………」
「直球……?ど真ん中……?」
祖母の言葉に固まる守弥と、意味がよくわからない咲良。
「分家の志朗が火をつけた煙草を咄嗟に握り潰したりしてるしねぇ……。
番犬っぷりを披露してる位だから、満更でもないと思うよ」
「んま!
煙草を?握りつぶした?
あらあらあら!もうすっかり……!」
「骨抜きかもねぇ」
「…………」
ばあ様と祖母が意味ありげな視線を交わし、守弥はダラダラと冷や汗が流れ落ちる。
なんだか不穏な(?)雰囲気を感じとり、咲良は守弥の傍に駆け寄った。
「…………守弥さま?
いかがされましたか?なんだかお顔の色がすぐれませぬ」
「いや、なんでもない」
「まことに?まことにございますか?」
「………………っ!」
いつもの小動物っ気に儚さが加わった眼差しで覗き込まれ、プツリと聞きなれない音が立つ。
どぶぁっ!
「ひああああ!守弥さま!」
「おや」
「あららら……」
なかなかの勢いで、守弥が鼻血を噴いた。
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