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「腕も足もスラリとしてて、バランスがいいわ……。
全体的に華奢だけど、うなじから腰のラインが綺麗なのよ。
腰も細いわねぇ……」
頭部から首のサイズ、肩……。
事細かに身体のデータを書き込み、女性はフムフムと頷く。
「これで女の子じゃないのが不思議だわ……。
思春期男子特有の生々しさが無いのよ」
「肌の透明感がいいんだよ。
このキメの細かさは、なかなかないよ」
「ホントに……。
ニキビがひとつも無いなんて羨ましいわ……。
キメも艶もいいし、この餅肌……っ」
「ふえ?」
頬に触れ、ムニムニされる。
「柔らかくて張りもある。
それでいて、吸い付くようなこのモチモチっぷり。
あああ……、たまらないわね……」
ムニムニ、ムニムニ……。
「ふええ?」
「…………採寸するだけじゃないのか?」
テーブルについていた守弥が、流石に口を挟む。
「………………珍しい……、守弥が喋ったわ」
「…………?」
「珍しいだろう?
昨日は分家の子らを威嚇してたらしいよ」
「あらあらあら。
寡黙、冷静、無関心の守弥が?
お母様、じゃあやっぱりこの子がそうなのね?」
「そうだよ」
「………………?」
話が今一つ読めずに咲良は小首を傾げる。
″お母様″と、女性は言った。
ということは……。
「ああ、紹介が遅れたね。
ばばの娘で、守弥の祖母にあたる茜だよ」
「よろしくね」
「…………!」
驚く咲良の後ろで、守弥が大きな溜め息をついた。
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