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『平安の昔あたりに流行ったまじないであればいいが、一族の始まりに近いあの伝承の事件の当事者じゃないことを願うばかりだ』 「………………」 『もしそうなら、守弥は闇堕ちの比古、咲良はかぐやとかぐらのどちらかということになる』 「…………」 そうあって欲しくはない。 この世に災いを為すものの痕跡が守弥の中に眠っているのか……? その大元が咲良の心臓と同化した守弥の核……? 自らの中に取り込み、災厄とぶつけて相殺してきた……? なにかがおかしい。 闇に堕ちた比古がこの世に災いを為そうとしたのを止めた姫は、非業の死を遂げたと伝わっている。 闇断ちの比古の子を宿したまま殺され、果たして呪いを引き受けるだろうか……? 『断ちの比古と恋仲にあった姫と、権力者に嫁いだ姫のどちらかが判別できないまま遮断された。 守弥自身魂の核が欠けてるから、残った闇を行使するのは無理だと思う。 咲良の中で二重の封印が外れなければいいが……』 「…………っ」 最期の機会と言っていた起源の咲良。 もし、相殺しきれずに命が尽きれば、返しの風とともに全てが守弥に戻ることになる。 黒い呪いに染まった核を取り戻した守弥が、この世に災いを為す事態にだけはしたくない……。 『姫乞いのリミットで、どちらが石になるかだな……』 咲良に対して庇護欲や独占欲を持ち始めた守弥と、守弥に対して想いを募らせ始めた咲良。 命と石化……。 どちらのリミットが早いか……。 できるなら、どちらも来て欲しくないと願うばかりのばあ様なのだった。

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