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こめかみに当たる吐息が甘い。 熱を堪える守弥の目許がほんのり染まっている。 「触れて、…………いいか?」 「あ、……っ、あ……っ」 楔に触れたままの咲良の手に触れる。 「へ、あ、はう……?」 「最後まではしない。 でも、お前の熱を知りたい」 「…………っ」 「触れて、いいだろ…………?」 「………、にっ、あ……」 「触れたい。 お前の熱に触れたい」 「……に、う……っ、う……」 「触れたくて辛いんだ」 「辛うございまするか……?」 「辛い……」 「わたくしで……良いのなら……」 「お前じゃなきゃ、意味がない」 淡く染まる瞼にひとつ、口づけが落ちる。 決して酷くしないと予告するように。 「怖くない、からな?」 「はい……っ」 ゆっくり体重が乗せられる。 その恐さより、守弥の重さと熱に心地好さが先に立つ。 怖さや拒絶の反応が無いのを確認しながら、守弥は楔と花芯を重ねた。

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