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中沢 智志

   小学高学年の時に両親は熱々デートというドライブで事故って亡くなった。  遺産がどうのこうのだとか、住んでいた家をどうのこうのとか――子供の俺を誰が面倒見るだとか。そんなやり取りを目の前で見ていた。  小学高学年とはいえなにも知らないと思っていたのだろう。  ごめん。なんかわかってるぞ、そのやり取り。  なんて冷静な思いであまり接した事のないじいさんとばあさんの家に預かられることになった俺。子供ながら――あぁこの二人、嫌そうに俺を引き取るんだなぁ――と感じた。  実際はその通りだ。変に二人からイジめられたとかなにかをされたとかはなかったが、その、雰囲気がな……。  小学校を卒業し、中学生になったらまたさらに、わかりたくなくてもわかってしまう空気がそこにあった。  じいさんばあさんは両親が残した少ない遺産からまたさらに少ない額を貰ったらしいが、ちゃんと大学まで行かす、と。  二人と会話して覚えてるのはこれぐらいだ。変に遠慮する俺に、俺を視界に入れようともしないじいさんばあさん。息苦しくて、どうしようかと思った。  中学校でも事情が事情でどこから聞いたのか知らないが周りも教師もみんな下手くそな気配りなんなりで結果、俺は浮いた存在の人物でしかなかった。  それはそれでいいんだけど。  幼稚園小学校の時からどこか客観的に自分を見ていた部分もあって気にしなかった。  まぁでも、ガキはガキなりの限界があったんだろう。――俺。だからこんなバカでかい全寮制なんか入っちゃったんだろう?  自分で自分に問い掛けるなんておかしな事だ。誰も返しちゃくれねぇのに――。  じいさんに、ここの学校行きたいんですけどって言ったら、少し間があきながらも頷くだけ。次にばあさんへ報告したら、心なしか嬉しそうな顔を浮かべていた気がする。  おかしいな、金も結構かかるはずなのに。  首を傾げた瞬間もあったが、とりあえず俺は息苦しいこの場から去ることが出来る喜びに猛勉強。そのおかげか偏差値も俺からすれば少し高いところだったが無事に合格。  さぁ、この家からおさらばだ。  じいさんばあさんと俺の両親、どことどこを繋げばこんな親戚が出来るのだろう、という疑問は最初からなかった。  

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