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客観的に見れば王子様
「あんなに顔が整ってるから自分の手が、こ・い・び・とっ!とかネタやったことないんだろうなぁ」
――あいつ俺のベッドの中で自慰してたぞ。
「だろうなー。あーいう男ならマンネリも来ないで普通のセックスをずっと出来そう」
――セックス云々より殴られ希望だけど。
「ファッションセンスもいいしな。この間のアクセサリー超カッコよかったぜ?ほら、首の……チョーカーか。赤がまた決まっててさ」
――ファッションセンスはよくわからないが、全裸になるのも多いし。なにより、
「あれは意味不明な首輪らしいぞー……」
「ん?智志なんか言った?」
ボソッと、心の中で言うつもりの言葉が口に出てしまったらしい。
再度言うつもりはなかったので俺は首を振りながら欠伸をし、みんなの流れに乗ってグラウンドを覗く。
サッカーでもやるのか白と黒の柄である丸いボールがいくつか目につく。三階から頑張って二列に並ぶ人数を数えると11人ずつ整列していた。
なかでも輝いてるんじゃないかと思うほど見えないオーラを放つ王司は単純にすごい男だと思う。頭を下げて、それぞれのポジションに移るみんな。
その中でもやる気満々に位置につく王司、と……もう一人の男。
あー、なんか見たことあるなぁ……誰だっけ……。
「あれが松村の彼氏だからな」
まるでエスパーなみに俺の思考を読み取る木下。
なんか癪に障るから『遠かっただけだ』なんて眉間にシワを寄せて不機嫌な態度を取る俺。……なるほど、あれが会長様か。
じゃあなんだ、会長様と王司は同じクラスなのか。というか、今までの話をまとめると平三が俺の同室者の時、会長様と王司が同室者だったってことか?
へー、一人部屋じゃないのか。
ここの寮は一人部屋の条件を満たしていれば木下みたいに一人でのびのび暮らせるし、逆に相手がいても苦でなければ二人一組、三人一組の部屋割が選べる。
木下の性格からみてのびのびと暮らしたいから一人部屋を取ったのはわかるけど、あの二人は同室者ありの部屋を選んだって事になるよな……。
窓を開けてサッシ辺りに腕を立てて頬杖をしながら見るとちょうど王司がボールを蹴ってゴールした、まさにカッコいいシーンを目撃。
嬉しさのあまりか会長様に向かって抱き合う姿はファンからしたらかなりのご褒美だったみたいで、王司関連の話をしていた数人が騒いでいた。
あぁ、ありゃかっけーな。
呆れるほどカッコいい姿に、思い出すおかしなアレこれ。こうやって遠くから見てれば王司 雅也は“王子様”なんて名も、頷ける。
あまりのギャップに溜め息を漏らしていたら授業が始まるチャイムが鳴った。
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