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相手には、する
「でもでも智志くん、俺……」
「言い訳は聞かねぇよ。……会って、帰ってきたら、この続きをしようか」
「……っ、会って、帰ってきたら……」
王司が繰り返す言葉に俺は頷きながら、掴んでいた髪をゆっくり離して頭を撫でるように手を添える。
うわぁ、俺なに言ってんだか……。俺から誘ってどうすんだよ!……いや、こう言ったものも、いいのかもしれないが――。
「会ったら?会ったら続きやってくれんの?」
「何度も言わせるなって……」
急に来る羞恥心に堪えながらもまだ話題を引っ張ってくる王司。少しだけ勃っているモノは相変わらずもどかしいままだ。
そろそろ離してもらおう。
そしてもう一度帰るように言って、楽しみを残しておこう――王司の。
「おうじ、「もう会った」
話を遮る王司。
その単語は聞き逃してしまうんじゃないかと思うほどはやくて、つい『はぁ?』と言ってしまった俺。
「もう会っている。父にも、母にも。家に着いて一段落したあと、たまたま会長に連絡する用事が出来て電話したら智志君の話になって……ちょっと、内容を聞いて……」
ここぞとばかりに、流暢に話し始める王司。そこで察するのは、ちょっとした内容だ。
たぶんだが、会長様から俺の家の話を聞いたんだろう。
どうして会長様が知っているのかと疑問に思うが、そこは平三の名前をあげとけばみんなが納得する結末だ。
隠していたわけでもなければ、話す奴もいなかっただけ。だから俺の話を知ってる奴等が少ないんだ。片手の指で数えられるぐらいしか、この学校にはいない。
「なのに智志君はもう帰省する日が決まってるような感じで俺と話してて……なんだか俺は嘘を吐かれた気分だったよ……」
今の発言で俺は殴りたい気分になったぞ。
「この学校から二時間で実家につく……両親にもちゃんと顔を出したっ!俺のなかでたっぷり話したッ!帰ると言ったら……ちょっと、あれだったけど……」
「ほらな、今すぐにでも……ってもう時間的に――「だけど俺は一回帰って二人に会って話して、戻ってきた!智志君が今言った事は、既にやった!だから、帰れとか……」
大声を出してきたかと思えばすぐに小声で弱気になり、最後に『そんなこと言わないでくれ……』と言われてしまった。
性的な興奮で溜まっていた涙も今では頬を伝うほど溢れていて、でも溢れたその涙は性的な興奮で流す涙ではなく感情として流れた涙だと、わかった。……俺のモノを握る手が震えてることで、そう判断した。
判断のしかたがおかし過ぎるが、これはこれでしかたないだろう。
だって俺がそう思ったんだから。
「智志くん、さとしくんといたい……いっぱいいっぱい」
「……王司」
流したままの涙は俺のモノに落ちてくる。
狙っているのか、それとも本気なのか……まあ、そんなのどうでもいいんだけど。
どうしたんだろうな、俺は。
「王司はよくもまぁこんな俺と一緒にいたいとか言えるなァ?」
「ん、だって智志くんが、好きだから一緒にっ」
裏もなにもない想いの涙に、なぜだか。
「泣くほどか……」
「うん、うん、智志くんとこうやって一緒に、」
「――そうか」
なぜだか突然にも、可愛いと思ってしまってる俺は、純粋な涙でキたのかもしれない。
「王司、口を大きく開けろ」
そして撫でていた頭を、髪の毛をもう一度掴んで王司を確認したあとに、
「約束したもんな?相手には、するって……」
「んぐぅ……!ふっ……、」
もどかしさが続く俺のモノを、王司に咥えさせといた。
何度も続く同じ事は、いずれ飽きが来て食い入るように違う穴を掘り起す。
王司を可愛く思ってきたのも、それと同じかもしれない。
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