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相手には、する
「……ん?」
ぱっ、と次の動作をしたのが目を開けることだった。
どうやら数回に一回、俺はコントローラーを握ると眠くなる現象が起きるらしい。
座っていたソファーの背もたれに上体を支えられながら首だけを動かしてテレビ画面を見ると“ALL CLEAR”と表示されていた。
さすがにやりすぎだな、と反省するまでの時間は僅か数秒。
周り全体の処理が脳みそで行われて、欠伸をしようとしたらビクッと体が跳ねるかのような感覚が走った。
「うっわ、なんで……!」
「んー、さとしくん、が、」
俺の股間に顔を埋めている王司がいやがった。
足と足の間に王司はいて、その両足を手で掴まれて固定されている。王司が間にいるだけで閉じれないというのに、ここまでする意味があるか?
いやちょっと待て、内心、冷静を保てているが実際は着ている制服越しから股間をしゃぶるように口付けられてるせいでヤバいぞ……。今は何時だ?
こいつを追い出してもうどのぐらい経っている?
「お、いっ、王司一回、離れろッ……!」
「ん、はぁ、さとしくんが……っ、て……」
「はァ?なに言ってるかわかんねェよ……うわ!?」
頭を叩いても離れる気がしない王司に目をやれば俺の股間が王司のよだれのせいで色が濃くなっていた。
というか電気がついてるってことは結構、時間が経っているとか?
俺がゲームを始めたのって昼過ぎだぞ……。あ、制服……まぁ夏休みの間にはクリーニング出そうと思っていたが……。
「おーじっ、王司わかったから、一回離せっ、な?俺がなんだ?」
漏れる息を耐えながらなんとか話してみるものの、大きく口を開けて舌先で押すように俺のチンコを這ってくる。服越しのせいでもどかしくてツラい。
はふはふと服をしゃぶってんだかチンコをしゃぶろうとしているんだか、わからなくなってくる。
あー、もうこいつホントーー。
「お、うじ……いい加減に、しろって……」
同時に、片手を掴んで足を動かせるようにする。
「ぅあ……ッ」
俺の下に座り込む王司の、ジーンズ越しからでもわかるほどパンパンに張ってるソレを踏みつけた。
衝撃と気持ち良さか、ぎゅっと目を瞑る王司にもう一度頭を叩いてやっと俺の股間から顔を離す事が出来、髪の毛を掴む。
いいか、これがいつもの流れなら受けてやったかもしれない。
だが、今日は違う。
「はぁ、お前帰ってるはずだろ……?」
「んン、だって、智志くん……」
こいつは実家に戻っているはずなのに、ここにいるせいで受け入れられるものも出来なくなっている。
「はぁっ、智志くん……」
髪を掴まれて痛いはずなのに気持ち良さそうな表情を浮かべる王司にはもう驚かない。
張るソレを踏みつけている俺の足はさらに踏み込んでるという理由も考えられる一つ。
目に涙が溜まってるせいでキラキラと電気の光が映り込んでいた。
「智志くんが、」
不意にカチャカチャと聞こえてきた金属音。もちろんそれは俺がしていたベルトの金具。王司の目にはちゃんと俺がいるのに手の動きは巧みな技だ。
性技が凄過ぎてここぞとばかり俺はされるがまま状態でファスナーを下ろされた。
「智志くん……会長から、あいつは帰らないぞって聞いて……」
穿いていた下着のトランクスに手をかけて下げた時、反応していた俺のモノはあっという間にほろっと顔を出していた。
王司の上と下の言動が違い過ぎてなにも言えなくなる。
表情を含めて口では寂しそうに言ってるくせに手は俺のチンコを優しく握っているってどうよ……。
先っぽを指で流すように触れてて、親指で裏筋を撫でている動きがまた制服越しとは違うもどかしさを味わう。もどかしいわけだから、漏れそうで漏れない息の行方も、声も、快楽も。
俺からしたら全部が、苛立ちになっていた。
来るならクるで、来ないならクるな……よくわからない気持ちに溜め息が出そうになる。
「つーか、会長様からの電話ってこういうことか……」
王司から出た会長様の名に、電話の内容を思い出す。
『中沢に悪い事をしたかもしれない』
この悪い事とは、もしや、このことか?
だとしたら会長様、あんたは確かに悪い事をしたな。
帰らせようとしたのに結局こいつは帰ってないみたいだし……いまだにもどかしさ溢れる触り方しかやってこねぇし!
「智志君、智志くんが帰らないなら俺も行かない……休みはずっと一緒にいよう?ね?」
「バカ、親が可哀想だろ」
髪を掴む手の力が一瞬、緩くなったのが自分でもわかった。
王司はどうやら親から結構、溺愛されてるらしいから。詳しく聞かなかったにしろ会長様はこんなような事を言ってたよな。
そりゃ可愛い一人息子が――ホモでも――全寮制の学校に、しかも中学から入学してて、下手したら大学まで残ったとして、10年は一緒に暮らせず会えるのは長期休暇のみ。
そう考えたら、はやく帰って来いと言われるよな。お前の父さんと母さんもはやく会いたがってんだよ。一緒に話たがってるんだろうよ。
なのにお前は俺の話を少し聞いただけで、一日も経たずに寮へ戻って来るとか、バカの他になにがある?
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