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その後②
もうそろそろ冬に突入する。
大和と翼はもう少しで卒業する。この学園の生徒会が次の世代に交代するのは12月。卒業より先に生徒会から大和と翼はいなくなる。
「時期生徒会、どうしますか?」
「今のままでいいだろう。」
「今のままって、時雨と雫と夏乃ですか。後は来年になって指名するようにしますか?それにしては些か心配ですね。夏乃はいつか必ず生徒会長をすることになります。その時の為に夏乃の信頼をおける人間をつけた方がいいと思います。」
「…野原多々か。」
「まぁ、そうなるでしょうね。彼は成績的にもなんら問題ありませんし。それに、夏乃に気兼ねなく話せるのは同世代でしたら彼しかいませんし。」
「…ダメだ。」
「何故です?」
何故も何もない。
理由はない。
いや、正確には理由はある。
大和が何故ダメだというのか翼は分かっていた。
ただの“嫉妬”。
夏乃は野原多々に対し下の名で呼ぶ。大和は未だに巽。苗字呼びだ。それに加え、多々と共に過ごすことも多い。嫉妬しても致し方ない気もする。
しかしそれを口に出してしまえば、この目の前の男は今すぐこの話し合いの席からいなくなる。
面倒臭い。
非常に面倒臭く、自分勝手だ。
「野原君は夏乃のただの友人かと思いますが?
無言。
翼はため息をついた。
「分かりました。」
この嫉妬がきちんと夏乃に伝わればいいのに。そしたらきっとお互いにいい方向に行くだろうに。
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