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その後③
「と、いう訳で、野原多々を時期生徒会に迎え入れようと思います。」
翼は大和いない生徒会室でそう言った。
「はっ?多々がなんで?」
「我々も勝手がわかりますから。それに成績を見る限り問題ありません。」
「まぁ、いい判断じゃないかなぁ。」
「さん…せい。」
概ね賛成のようだ。夏乃というのも、反対の色を示しているようだが対して嫌がっていない。内心では喜んでいるのだろう。
「ただ、問題があります。」
「なんだ?多々が断ったのか?あいつならやれって命令すればやんだろ。」
「いえ、野原君には確かにまだ返事を貰っていない…というか話もしていませんが、そうではなく問題は巽にあります。」
「巽?なんで?」
「巽が野原君を入れるを拒否したのですよ。…困ったものです。そういう訳なので、夏乃、巽の説得を頼みます。」
「は?なんで俺が。」
「夏乃にしかあの横暴な王様の意見を変えることはできないでしょう。」
「…わかった。この俺があの俺様野郎を説得しに行ってやる。」
「なら、頼みますね。巽は今屋上にいると思います。」
「今から行くのか?」
「早い方がいいかと。」
「わぁったよ。行ってくる。」
夏乃を見送りながら無事に帰ってくることを祈る。
3人は分かっていた。
大和が野原多々を生徒会に入れるのを拒否した理由が。
ただ、それを敢えて夏乃には言わなかった。
「まぁ、そろそろ進展があってもいいでしょう。」
実はあの2人、文化祭後から何もなかった。
文字通り、今までと変わらず何もない。
キスは愚かセックスもなんなら抱きしめ合うことも手を繋ぐこともない。話しても仕事のこと。余計なお世話だとは思いつつも、今後の2人を思うならやはりなんらかの刺激は必要か。
「…だい、じょぶ?」
「ある意味大丈夫じゃないかもねぇ。」
「良い方向に向かえば良いでしょうが…。」
飄々としているが確実に野原多々に嫉妬している大和。
夏乃とも変わらない関係に思うところがあるはずだ。
もし今多々を生徒会に入れろと夏乃が言ったらどうなることか。
貞操の危機。
まぁ、最悪の話だ。
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