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9月 part 2-1

9月の終わり頃。午前1時。 東京都新宿区 歌舞伎町。 居酒屋やカラオケ店、スナックをはじめ、風俗店、キャバクラ、ホストクラブなどが軒を連ねる、日本で最も有名な歓楽街のひとつ。 平日の深夜だというのに、喧騒にあふれた賑やかな通り。しつこく声をかける客引き、喧嘩している不良っぽい兄ちゃん、酔い潰れて路上で寝ているサラリーマン、腕を組んで歩くキャバ嬢とホストらしき男女。 そんな歌舞伎町一丁目をひとりで歩き、目的のバーを目指す。 歌舞伎町二丁目。雑居ビルの4階のテナント。そこに、人見知りのバーテンダーが経営する、『BAR・suspicious(バー・サスピシャス)』はあった。 このバーのオーナーは、桐谷 依都(きりや よりと)さん。36歳。背が高くてスタイルが良く、タイトなバーテン服をかっこよく着こなしている。髪はオールバックで、目鼻立ちの整った顔。だが、無表情で、少し鋭い目つきが、冷たい印象を与える。 コリンズグラスに入った、透き通ったブラウンのカクテル。閉店後にも関わらず、桐谷さんが作ってくれたものだ。小さめの氷がたくさん入っていて、見た目にも涼しい印象。飲んでみると、紅茶のような味がして、とても飲みやすい。 初対面の桐谷さんと、ふたりきりで話すのは緊張する。だが、桐谷さんは無表情ながら、俺が質問したことには答えてくれる。俺は、桐谷さんが歌舞伎町にバーを開業した時のことを聞いてみる。

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