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第3話-2
「悠斗くん?」
ポニーテールを揺らして、綾が顔を覗き込む。綾は俺より少し身長が高い。全て負けているような錯覚に陥りながらも、俺は無理やり笑顔を作った。
「もう大丈夫。ありがとう、心配してくれて。」
「よかったー!もう、無理しちゃダメなんだからね!あ、これ1、2時間目で使ってたプリント。こっちのルーズリーフに、大事かなってポイントまとめてみたから、よかったら使ってー」
「ありがとう」
「いいよー。私、一応委員長だしさ。でも、字が読みづらかったらごめんねー」
プリント類を手渡しながら、弾けるような笑顔。
こいつが性格悪い女ならまだ良かった。大輝に、お前騙されてる、やめとけよって言えるのに…
大輝、お前、女を見る目はあったんだな…
お似合いじゃねえか、くそっ…
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