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第3話-3
モヤモヤする気持ちを振り払いながら、同じサッカー部の健のところに向かう。たぶん、俺が倒れた時、保健室まで運んでくれたのはこいつだ。
「健、ありがとな」
「悠斗ー!お前、いきなり倒れるからびっくりしたじゃねーかよー!心配させんなよもー!」
タックルするように俺の首に抱きついてくる。いつもながら、熱い男だ、ほんと。
「てか、保健室まで運んでくれたんだろ。悪かったな」
「いーよそんなの。悠斗、全然重くなかったしな。楽勝でお姫様抱っこできたしー」
「はぁ!?なんだそれ、どーゆうことだ!?」
「こう、背中のとこと足のとこ持ち上げて…よいしょーって。いやー、俺の人生でお姫様抱っこなんてする日が来ようとは。これで悠斗が可愛い女の子だったら、言うことないんだけどなー」
「何言ってんだこらっ、こーしてやるっ」
「やめっ、ちょっ、くすぐってーよ!それが恩人にやることかよっおいっ!」
逃げる健の横腹を狙ってつつく。健がこんなバカなことを言うのも、健なりに気を使っているんだろう。俺が気にしすぎないように。
いや、単なるバカなのかもしれないが。
ん?
なんか…視線を感じる?
どこから?
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