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第8話-5 大輝side

Gカップが売りのAV女優が大げさに喘いでいる。自分の部屋で、そんな映像をぼんやり眺めていても、内容が頭に入ってこなかった。 頭の中で、勝手にあの時の悠斗の泣き顔を再生してしまう。疲労の色が濃い歪んだ顔、大粒の涙、そんな悠斗の顔を想像して勃ってしまうなんて、俺はどうかしている。 そんな自分が嫌になって、自分自身を慰めることをやめてしまった。それから1ヶ月ほどたったころ、夢を見た。 裸の俺は、裸の悠斗をベッドに押し倒していた。嫌だ、やめてくれと叫び、暴れる悠斗。その手足を押さえ込み、無理矢理に唇を奪う俺。顔をあげると、悠斗の瞳には、絶望と軽蔑の色が浮かんでいた。 わずかに残った理性が、やめろ、友達に戻れなくなると警告しているが、やめることができなかった。腰を振って、自らの欲望を悠斗の肌に擦り付ける。悠斗の汗の味を確かめるように、首元を舐め、吸い上げる。あまりの快感に頭が沸騰しかけた瞬間、目が覚めた。 ボクサーパンツの中がドロドロになっているのに気づいて、俺は布団に突っ伏した。夢精、というやつだ。高校生にもなって、俺は… その日はさすがに悠斗の顔を見ることができなかった。具合が悪いと嘘をつき、机に伏せている俺。そんな俺に、悠斗は大丈夫か、保健室に行くか、などと心配そうな声をかけていた。そんな悠斗の声を聞きながら、俺は、吐きそうなくらいの自己嫌悪に陥っていた。

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