「えー、ごめんってー、竜ちゃんが構ってくれないから私、寂しくってさー、ついー」 おまえは寂しかったら、誰にでも股を開くのかよ！美奈子！ …いや、そんなことより！ その美奈子の腰に手を回してる、そこの男！ 外ハネした明るすぎる茶髪。男のくせに、ピアスやらシルバーアクセやら付けやがって。チャラチャラした、俺の一番嫌いなタイプ！ 「またおまえか！瀬戸ぉ！」 「悪いな、竜司（りゅうじ）。ま、単におまえに、魅力が足りないだけなんじゃねぇのか？」 なんだその、あざけるような顔は。虫酸が走る。 こいつのせいで、オレの大学生活はめちゃくちゃじゃねぇか！ 瀬戸 翔真（せと しょうま）。 こいつにカノジョを寝取られるのは、これで５回目だわ馬鹿野郎！ 「ま、おまえが俺と付き合うっていうなら、これ以上おまえの女には手ぇ出さねえよ、竜司」 「意味が分かんねえ付き合うわけねえじゃねぇかマジ脳にウジ虫でも湧いてんじゃねえのかオマエ」 息継ぎなしで言い捨てて、オレはポケットに手を入れ、大股でその場を去る。 またその捨て台詞かよ。いい加減聞き飽きたわ。 てゆうか、論理的に破綻してんだろ、マジで馬鹿じゃねぇのかこいつ。