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第1話-3

「それにしても、大学に入って半年で、5人も彼女できてるの、すごいと思うけど。かっこいいもんね、竜ちゃん」 …いや、作った端から盗られてるんで、全然付き合えてる気がしないんですけど。 そういうりょーちんも、いっつも女の子に、可愛い可愛い言われて、けっこうモテてんだよな。天然パーマのふわふわな髪に、童顔で。 背も低くて、いつも上目遣いなとことか、母性本能くすぐるっていうのかね。 「瀬戸くん、だっけ?あの人も、竜ちゃんと違う意味でかっこいいよね。竜ちゃんは、背も高いしスポーツ刈りでガタイもいい、ワイルド系なんだよね。 で、瀬戸くんは、ちょっとチャラい感じでさ。顔も整ってるしお洒落だし、なんかモテるのも分かるなぁ」 「…頼むから、あいつを褒めないでくれ…」 学食の机に突っ伏したオレに笑いかけて、りょーちんはそういえば、と紙袋を机の上に置く。 「竜ちゃんが読みたいって言ってた、ほら、野球のやつ。コミックス5巻まで持ってきたからさ、良かったら読んで」 「ありがと、りょーちん!大好きだっ!」 オレはりょーちんの右手を両手で握りしめる。持つべきものは、やっぱ友だちだなっ! …学食の入り口で、瀬戸がその様子を見ていたことに、その時の俺は気づいていなかった。

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