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第3話-3

「はい、あーん」 駅から徒歩15分ほどのところにある、有名な中華料理屋。中身をすくったスプーンを、瀬戸の口元に近づける。 「あ、あの…」 「なんだよ、あーん、って言ってんじゃん。おまえはオレの、激辛チャレンジメニュー/大量の唐辛子・ジョロキア・カイエンペッパー・ハバネロパウダー入りチャーハンが食えねえって言うのかよ。ほら、あーん」 チャーハンとは思えないほど、真っ赤に彩られたご飯。うわ、刻んだ唐辛子がネギよりたくさん入ってんじゃん。匂いだけでむせてしまいそうだ。 さあ来い! こんなもん食えるか、別れる、と! 「…ん。……ぐっ…げっほごほっ!」 いやいや咳き込みながらも食ってんじゃねえよ!うわ、スプーンを差し出すたびに、真っ赤なご飯が次々と瀬戸の口の中に消えていく。マジで何考えてんだ、こいつ。 …実は、そんなに辛くない、とか?ひと口いってみっか。 「ーーー!」 水、水っ!死ぬわ!普通に死ぬわ!マジ何考えてんのこいつ、信じらんねえ… こ、これで終わると思うなよ、瀬戸!

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