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第3話-4

「今日はありがとな、瀬戸。はいこれ、心ばかりのプレゼント。受け取れよ」 身長236cm、体重19kgの、巨大なくまのぬいぐるみ。業務用のデカイ食材やら、おもしろい輸入品やらが陳列されている店で、さっき買ってきたものだ。 …こんなファーシーかつ邪魔なもん持って、電車で帰んないといけないなんて、絶対嫌だろ。 …頼むから、頼むからそろそろ降参してくれ… 「お、おお…サンキュ。大事にするわ」 ですよね…。そんな気がしてたわ…。 「…あー、今日はありがとな、気をつけて帰れよ」 駅に向かう瀬戸を見送る。明るい茶髪のちょっと不良っぽいイケメンが、ダサいTシャツを着て、巨大なぬいぐるみ持ってる図はすげー悪目立ちしてる。駅前を行き交う人々の視線を集めてる。 …負けた。オレは、負けたのか… ただただ、どうしようもなく虚しい気分に襲われながら、オレはその場に立ち尽くしていた。

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