17 / 41

第7話-1

目の前で揺れるキャンドル。 なぜか壁は黒板になっていて、おすすめパスタなどのメニュー名や、野菜などのイラストが書いてある。 アンティークな木製のテーブル。 目の前にある、『南イタリア産トマトとモッツァレラチーズのペペロンチーノ風パスタ』とかいう、舌を噛みそうな名前の料理。 いつも使う定食屋とは全然違う雰囲気の、パスタ屋さん。 そして、目の前でパスタを食べてる、りょーちん。 てゆうか、まわりカップルだらけじゃねえか。男同士で食いに来てるやつなんていねーぞ。 「いやいや、僕らもカップルだからね、竜ちゃん」 にっこり笑って言うりょーちん。 え、今、オレの心の声、読まれた!?やっぱ怖え… 「あ、竜ちゃん。口のまわりにソース付いてるよ?もー、しょーがないんだから」 人差し指でオレの口元を拭い、そのまま自分の口へと運ぶ。 「あ、竜ちゃんが頼んだのも、けっこう美味しいねー」 自分の人差し指を咥えたまま、オレを見て笑う。りょーちんが注文した、オイル系パスタのソースが、りょーちんの唇の上でグロスみたいに光ってる。 …なんで目を逸らしちゃったんだ、オレ。おかしいだろ。

ともだちにシェアしよう!