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第8話-3

「そうなんだよ!おもしろいよなっ!これ!」 さっき瀬戸が持ってきたのは、この昭和のヤンキー漫画だったのだ。 ここがネカフェだと言うことを忘れて、つい熱くなってしまった。隣のブースから咳払いが聞こえて、慌てて声の音量を落とす。 瀬戸は、ひそひそ声で、漫画を手に取りながら言う。 「俺はさ、9巻で、極道高校の四天王の一人、持国マサシと主人公が戦うシーンが好きなんだよね。主人公の男気に感動して、涙を流してさ、それまで酷い扱いをしてきた仲間たちに謝罪するとこ。名シーンだよな、これ」 「ああ分かる!オレ、それまで持国のやつ、大キライだったけどさ、このシーンで大好きになったんだよなー。んで、この後、最強の四天王、増長大五郎と主人公が戦う時に、持国が駆けつけて、主人公を助けてくれるじゃん。なんだよ、持国のやつ、仲間思いじゃねえか!って感動してさ!…あっ、うるさくてスミマセン」 隣のブースから聞こえる咳払い。 いかんいかん、また熱くなってしまった。 オレの大好きな漫画を読み始める瀬戸。 自分の好きなものを、相手も好きだって言ってくれる。それって、けっこう嬉しいことなんだな。 なんだ?もしかして瀬戸のやつ、けっこういいやつなのか?

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