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第3話
嫌がるそいつを俺はなんでか構いたくてしょうがない。
虐めて泣かせたいなんて、俺ちょっと変なんやろか?
でもそいつは怒ると興奮するのかちょっと涙目になるから、それが見たくてついついちょっかいを掛けてしまう。
中学に上がって男女構わず友達の増えたそいつは、クラスの一番人気を誇っていて、俺はますますそいつが気になってしょうがない。
気になってちょっかい掛けて怒らせてばかりいる。
今もほら、涙目になって真っ赤な顔して、めっちゃ俺を睨みつけている。
「なんでそんなヤなことばっかすんねん」
今回は俺が悪かった。
嫌がるのを知っていてわざと怒らせてばかりいるけど、きょうはガチ切れ、本気の本気で怒っている。
「ごめんな、俺が悪かったわ」
俺が謝ると、ぽかんと俺を見あげた。
開いた口がちょっと間抜けでそれもかわいい。
「何なん、じぶん」
謝ったのにそんなことを言う。まあしゃーないな。
俺が謝るのなんか、この3年のつき合いで初めてやもんな。
「そやけど、お前が…」
振り向いたところで、我慢できずにキスをした。
「何やねん、お前っ」
飛びのいて手で唇を押さえたそいつは真っ赤になった。
「初めてやった?」
「アホか、何言うてんねん」
わめきながらカバンを振り回すから、それを避けて体を抱き寄せた。
「かわいいな、好きやで」
「おれは大嫌いやっ」
わめいてもがいて俺の体を引き離し、腕を振り回す。
ばこっとカバンが頭にヒットした。
「いってえ」
「アホか! 嫌がらせも大概にせえっ」
…べつに嫌がらせでキスしたわけでもないんやけど。
ダッシュで遠ざかる背中を見送った。
明日から本気出す。
見とれや、お前、絶対俺のモンにしたるから。
完
こういう二人、けっこう好きww
表紙のSSが先で、それを元に書いた短編です(^^)
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