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第1話
とある日のバイト帰り…
いつも通りにバイトを終わらせると先輩や店長達に挨拶をすると店を出た
人気の少ない暗い夜道を周りを気にしながら一人でとぼとぼと歩く
彼の名前は成宮波留(なりみやはる)
歳は19で、去年まで専門学校に通ってた
今は学校を辞めて、時給の良いカフェでアルバイトをして生活している
そんな 波留の唯一不満な点はこの顔と身体
男にしては色白で輪郭と目鼻立ちの整った女優顔の美男子で身長もそこそこ小さい
だからなのかバイトをやっていても客から女と間違えられたり、セクハラを受けることも時折ある
「はぁ~……肩凝った…」
重いため息をつき、暗い路地の角を曲がると嫌な予感がゾクリと波留の背筋を撫でた
(何だか…嫌な予感…何とか大通りに…)
波留はそう思い、早足でその場を去ろうとした
だが、既に行動が遅かったみたいだ
誰かに後ろから捕まれ、波留の口元を布地の何かで塞がれる
「んん~!!」
何とか逃れようともがくが残念なことにビクともしない
「捕まえた」
暴れる波留の耳元から低い声が聞こえ、思わず身体が動かなくなってしまう
(…お、男っ!?)
さらに波留を掴んでいるのは一人でないのか、男の周りに何人かの男のうっすらとした影がチラつきがやがやと騒いでいるのが聞こえる
「ほーれ、怖くないよー」
耳元から聞こえるその声と共に、塞がれた布から薬品の匂いがするのに気づき反動でそれを思いっきり吸ってしまい波留の視界が霞みだす
(ぅ……。なんか、意識が……)
波留はそのまま意識が遠のき誰なのかもわからない相手に捕まったまま不覚にも眠ってしまったのだった
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