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第15話

波留は清の誘いに顔を上げると彼の顔をまじまじと見つめて黙り込んでしまう 「あれ?もう一度言わなきゃダメ?」 こほんと咳払いをしながらもう一度先ほどの言葉を波留に伝えようとする清を止めながら波留は、自分が受けた誘いの理由を彼に問う (俺に優しくしないでほしい…。されればされる程その人が不幸になるから…) すると清は短く簡潔に理由を述べると無邪気に微笑んだ 「え、だって波留が理由話してくれないし俺さ波留のこと気に入っちゃったから」 「そんな理由で…」 波留は清の理由に呆気に取られていると彼の顔が悲しそうに歪む 「波留は…俺らと居たくない…か。そうだよね、あんな酷いことしたんだし居たくないのも当然か」 (な、なんかそう言われると断りずらくなる…) 清の表情と言葉に意志が揺らぎそうになるが、波留は大きく深呼吸して再度彼等の顔を見ると答えを出した 「……居たく…ない」 歯切れの悪い答えではあったが波留の気持ちを尊重してくれているのか清が身を引く 「………そっか」 寂しそうに微笑む彼のその顔が波留の心に訴えかけてくる (清さん達と居たらもしかしたら助かるかもしれない…) 波留の心の隙間で見え隠れしていた正直な気持ちが勝手に口から出てしまう 「訳じゃない……」 「……え?」 (俺を助けてくれるなら助けてほしい…でも。) 波留の回答に曇っていた清の表情が明るくなり、次の言葉を待たずに肩を掴まれる 「じゃあ!」 「でも、俺といると……ダメなんだ」 嬉しそうな清とは裏腹に下唇を噛み暗い表情を変えない波留に猇は椅子から立ち上がり清の手を掴むと諭す 「バカ。まだ話してんだろが…」 その掴む手には少し力が入っていたのか清が苦痛に顔を歪めながらも波留か手を離し、続きを聞き出した 「ってて……ごめんごめん。一緒に入たらダメってどういうこと?」 顔を覗き込まれその優しげな眼差しで波留を見てくる清に堪えていた我慢が出来なくなり、彼の下された腕を弱く掴む そして、彼等に向かってこう言った 「俺は……人を不幸にするから……」

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