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第16話

そう呟いた後、波留の瞳からは大きめの涙が零れ落ちた 「……どういう事?」 泣き出す波留に何かを感じ取ったのか清が再度背中を摩りながら次々とこぼれ落ちる涙をその長い指で拭ってくれた (話したい事がある…誰かにもう大丈夫だって言って欲しい) 波留は自身の抱えている問題と切なる願いを彼等に漏らした 「………助けて2人とも…」 2人は波留の絞りだされた言葉に顔を見合わせてから力強くと頷くと、波留の話に耳を傾けてくれる 「…波留が人を不幸にするってどういう事?」 清に代わって猇が背中をさすってくれ波留は嗚咽交じりになりながらも話す 「俺…みんなの玩具なんです」 「みんなの?」 「俺、去年まで専門学校に通ってて…そこで捕まった先輩達に…みんな怖かった…。俺を匿ってくれた友達は……」 話していく内に過去の出来事が次々と思い出され体の震えが酷くなる。自分が呼吸をできているのかすら不安で仕方がなかった 「友達は……?」 清が波留の手を掴むとその手に力を入れ大丈夫と何度も優しく告げ波留の呼吸を安定させた 「………殺された。誰かに夜道を……一人で歩いてたら刃物で……。俺、それを知った後…現場に行ったら…その人達が居て」 あの時の事はもう一生忘れないだろう… 「俺を見て笑って言ったんです………あーぁ、折角のトモダチが死んじゃったよ?……お前に関わらなきゃこんな事にはならなかったのかもな……って」 2人は衝撃の結末に驚き、無理して話さなくてもいいと波留にいうが波留は首を振って話を続けた。ここで話は終わりではないからだ 「俺それからずっと狙われて……部屋におしかけられたり…知らない人に街で声かけられていきなり抱かれたり……それに…友達は俺から離れてったり……先輩に脅されて俺を無理やり……」 「波留…もういいよ。人に頼ることが出来なくなって自分と関わると不幸になると思う気持ちが芽生えるのも理解できる…家だって、奴等に知られてるから迂闊に帰れないんでしょ?」 清が波留の事情を理解するとそれに黙って頷き涙を拭う 「よし、猇。俺は波留のことを気に入ってるしこのまま帰すと俺は今後一生後悔しそうな気がする!だから、俺達の管轄で預かる…どう?異論がある?」 目元を強く擦る波留の手を優しく止めながら猇は顔を上げ清に口角を上げて笑うと得意げに言った 「いや。異論はないぜ、俺もこいつのこと放って置けないしな」

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