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第17話
2人で盛り上がる間で波留は話を聞いていたのだろうかと不安になる
「だからっ……一緒にいたらダメなんですって…助けてって言ったのは俺だけど…」
それぞれの顔を見ながら話してしまったことを後悔していると清に両頬を挟まれ強制的に彼の顔だけが視界いっぱいになった
「えっ…ちょっと…!?」
あまりの出来事に波留は驚きつつもその瞳には覚悟が決まっており拒絶など許されそうにない
「そいつら奴等がせこい手使ってんのにこっちはされるがままなんて悔しいっしょ。大丈夫、波留はヤクザを怒らせて身元預かりに処遇が決まったって事にすれば下手に手出しは出来ないでしょ」
にんまりと笑いながら姑息なことを考えそれを提案してくる清に拍子抜けし、思わず釣られて笑ってしまう
(もう一度だけ……信じてみたい。誰かに手を差し伸べてほしかった)
波留は自分の中に諦めしかないと思っていたが彼等の言葉にこんなにも救われるとは思っても見なかった
真っ直ぐに自分を見つめて決意の固まった強い言葉にかつての友人を思い出し、清の手に自分の手を重ね力を抜く
何年ぶりだろうか…誰かの手がこんなにも心地良い事を思ったのは…
そう思った途端ダムが決壊したかの様に波留の中の感情が溢れだし、癇癪を起こした小さい子供みたいに泣きじゃくった
清も猇もそんな波留を見て心中を察したのか好きなだけ泣いていいと言ってくれる
「波留。…辛かったね。怖かったよね」
耳元で優しく呟かれ何度も大きく頷いた
「大丈夫。俺らが波留を守ってあげるから。もう、怖い思いしなくていいよ」
「なーに1人だけ格好つけてんだよ。ばかキヨ」
猇が波留の身を自分の方へと寄せ胸を貸しながら清に噛み付くと彼は余裕そうに答えた
「だって、波留の中での好感度、今塗り替えられたっしょ」
「いつお前が1番になったんだよ」
「ついさっき?」
「ばーか。ざけんなよ、お前はまだ最下位のまんまだ。少なくとも俺よりは下だ」
波留を励ましているのか自分たちのマウントを取り合っているのかまたも言い争いをする2人に溢れていた涙も引っ込んでしまう
(こんな調子で大丈夫かな…)
少しの不安もあるが2人の存在に救われたことは波留の人生の中で今までを覆す大きな変化となった
「…ありがとう。2人とも」
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