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第22話

「総長それ、マジで言ってるんですか?」 光樹は清に問うように聞くと清はこくりと頷く 「マジマジ。大マジ」 「……ほえー…真尋さん。ぱっと見だと女の子にしか見えなくないすか?」 光樹が次に話しかけたのは、眼鏡をかけた男性だった (あの人よく喋るな……) 「光樹ちっとは黙れ。あと、俺は女だとは思わなかった。」 簡潔に答えられ、しかも注意を受けた夜久は怒られた後の犬みたいにシュンと縮こまった 「で、清。その子の名前は?」 会長とやらに話を戻され、代わりに清が淡々と答える 「成宮波留」 「なんでお前が答えるんだ。聞いてるのは本人にだ」 てっきり自分に聞いたと思っていたのか、清が間抜けな声を出す 「お前に聞いてもしょうがないだろ。…で、お前も何らかの事情があるのか?」 羽柴にじっと見られ、俺は落ち着かない気持ちになる 「え…っと。…まぁ、……」 波留の歯切れの悪い答えに羽柴は 「……ちょっとこっちに来てみなさい」 優しく笑いかけ、波留を自分の近くへと呼び寄せた 「……?」 波留は猇に視線を送ると「行って来い」と目で言われ、ゆっくりと羽柴の元へと歩く そして、羽柴の前まで来ると、羽柴はそのまま隣の部屋へと波留を招き入れた ついて行くようにして部屋に入ると、先に羽柴がにこやかな笑顔で自己紹介をしてくれる 「俺が羽柴会会長で羽柴組組長の羽柴 剛(はしば つよし)だ。清と猇とは小さい頃からの付き合いで、あいつ等をここまで育てたのも俺だ。」 近くに置いてある机に軽く腰掛け、波留に椅子に座るよう言ってきた 「ありがとうございます…」 俺は言われた通りに椅子に座り、礼を言う 「で、お前は清達に何を言われて入ったんだ?」 椅子に座るなり、羽柴が質問してき波留は戸惑う 清達の家で話した事をこの人にも話すべきなのだろうか… 「あの…、キヨ達には…話したんですけど…」 (此処に来たからには話しておくべき事なのかもしれない…) 波留は意を決して羽柴に今までの事、清達に言われた事を包み隠さず話すことにした

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