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2つの宝物
部屋に向かった俺は入った途端体が固まった・・・。
柴崎の部屋は高校生の部屋にしてはキレイに片付いていた。
そう。キレイに片付いていた。
捻挫の時に来た時よりも。
飾ってあった中学のユニフォームは?地区大会の賞状は?
小さなトロフィーの数々は?本棚にパンパンに入っていた
バスケ雑誌は?どこにいったんだ?
「何もないけど、どうぞ。って言ったでしょう?」
冷茶を持って柴崎が後ろに立っていた。
「お前・・・これ・・・」
「もう夢にもならないものは、いらないでしょう?あ、楽に座ってください」
「俺さあ、他の奴からお前が部活辞めるかもって聞いたんだけど」
「あはっ。同い年って口が軽いなあ」
「見学なら国体来れるだろ?部活だって今までみたいに・・・」
「根屋先輩。俺、やりたかったバスケできなくなったのに
試合なんか見たい訳ないでしょう?」
「マネージャーだって、ウチは人数がいる。
ちょっとコートに入る口実が欲しかっただけなんですよ。
コート見て終わり。もうすぐ大事なものを1つ手放します」
「そしてその後、もう1つの宝物も手放すんです。
今までの俺はその2つの宝物で充実していた」
『バスケともうひとつの宝物?』
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