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第7話

 涼矢は、実質30分も経たないうちに戻ってきた。あの低く唸るモーター音の他には何も音がしない。和樹は取り乱すどころか、ぐったりとして、涼矢が近づいてくることに気付いても何も言わない。 「ああ、ちゃんと我慢できたんですね。偉い偉い」涼矢は和樹の股間を探る。下着からはみ出るほどに硬く勃起しているが、先端から溢れさせているのは透明な液体だ。  その時になってようやく和樹は「フーッ」と威嚇する猫のような声を上げた。 「辛そうですね」涼矢は下着のしみを広げるようにペニスの先端を弄る。「どうしてほしいですか?」 「……抜け」 「これですか?」涼矢はローターの紐を軽く引っ張る。 「ああっ」と和樹が身体をよじらせた。 「抜いてしまっていいんですか?」 「抜け、早くっ」 「気持ちよさそうですけど? こんなにして」涼矢がペニスを扱く。 「あ、だめ、触んなっ……!」そういった瞬間に、和樹のそこから、今度は白濁液が放出された。 「イッちゃいましたね」涼矢は下着や下腹部に飛び散った精液をすくいとり、もう一度下着の上からそれを塗りつけるようにした。「手足縛られて、お尻にローター入れられたら、ちょっと触っただけでこんなですか。本当に感じやすいですね」  和樹は赤面してうつむく。「余計なこと言ってないで……抜けって」 「でも、パンツが脱げないんですよ。どうしましょうか、このパンツ」涼矢は和樹の耳孔を舐める。「ぐしょぐしょになっちゃってますけど?」 「んっ」涼矢の声と息と舌に、つい反応してしまう。それでもなんとか気を取り直して「足、 外せばいいだろ」と言った。 「でも我慢できなかったから……」 「した!」和樹は反論する。「お、おまえが帰ってくるまではちゃんと……」  しゃべっている口の中に、涼矢はぞんざいに指を差し入れた。「そうでしたね。ちゃんと我慢できたのに、私がちょっと触ったら射精しちゃったんですよね。私に触れられるのをそんなに喜んでいただけて、嬉しいです」唾液まみれになった指を、また和樹のパンツで拭いた。 「馬鹿、違う、そういう意味じゃない」 「違うんですか?……ああ、ご褒美目当てでしたか」  涼矢はそう言いながらまた例のナイトテーブルに行き、今度はさっきとは違う引き出しから、鋏を取り出した。 「約束は守ります」涼矢は足を固定していた赤いテープを剥がす。うまく剥がせないところは鋏を入れて切る。ぐるぐる巻きの最下層は皮膚に直接貼られているが、それも容赦なく剥がした。 「痛ぇっ」テープの剥がし跡が赤くなっている。 「それほど痛くないはずです。養生テープですから」 「そんなの、どうでもいい……から、早く、これ」 「何ですか?」涼矢はわざとらしく聞き返した。 「ローター……抜けって」  涼矢は和樹のズボンもパンツも脱がせ、ローターの紐に指をかけた。ずるずると引っ張る途中で、和樹がびくびくと身体をしならせた。そのポイントで涼矢は手を止める。 「いいところに当たりました?」  和樹は無言のままコクンと頷いた。「も……おかしくなるから、早く、取って……」  涼矢はそんな和樹の頭を撫でた。「よく言えました。最初から素直にそういう風に言っていただければ」  和樹の息が荒くなる。涼矢にしがみつきたいところだが、後ろ手に縛られている手はそのままだから、それもできない。  涼矢のいない時間も含め、何度も軽くイッていて、辛い。涼矢がローターを抜いてくれるのを待っていると、当の涼矢の手が離れた。戸惑う和樹の眼前で、涼矢は自分のズボンのベルトを緩めていた。 「な……何する……」 「何するって、この状況ですることなんか、ひとつしかないでしょう?」涼矢はコンドームを着けると、ベッドに上がり、和樹の両足をつかんでグイッと引き寄せた。うわ、という和樹の声が上がる。 「ロ、ローター先に抜けって」 「ご褒美です」  涼矢がズン、と押し込んできた。

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