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第6話

「まあ、いいか」涼矢は一人で納得して、ローターを再び手にする。かと思うと、それをご丁寧に何かで拭きだした。 「……何やってんだよ」 「消毒。念のため」 「おい、まさかそれ、挿れる気じゃないだろうな」  涼矢は和樹を一瞥した。「本気で言ってるんですか?」それから今度は手先にローションを垂らし、濡れていないほうの左手で和樹のパンツをずりおろすと、右手の指を挿入した。「ああ、やっぱり、ほぐす必要はなさそうですね」 「何言って」  涼矢はおもむろにローターを挿入した。 「ひ」 「ほら、するする入ります」 「や、ちょっ、やめろ」 「スイッチ入れますね。大丈夫ですよ、最初は弱で」 「うあっ!」和樹の身体がビクッと宙に浮く。 「これは失礼。今のは強でした」 「おまえ、わざとやって……」 「なんだ、おしゃべりする余裕あるじゃないですか。じゃあ、このまま」涼矢はローターのスイッチ部をポイと放り投げる。 「馬鹿、いきなり何す……あっ、い、いから、早く、取れっ」身体を震わせながら和樹が言う。「いきなりは嫌ですか?」涼矢は和樹の顎を取り、キスをする。「だったら雰囲気盛り上げましょうか?」和樹の唇を挟むようなキスを繰り返しながら、手はうなじから首筋、そして乳首と撫でていく。 「あっ、やだ、あっ、あっ……! 涼、取って、これ、やだぁ……」  固定された足を、それでも可能な限りバタつかせる和樹。 「今、自分がどんな顔して言ってるのか、分かってます?」 「やだって、あっ、あっ、奥、変、やだって……」 「可愛いですよ」指の先で和樹の乳首をこする。 「やあっ……んっ」 「愛してます、和樹様」和樹の身体がまた激しく反応した。涼矢がふふっ、と笑う。 「な……わらっ……んっ」何を笑っているのかと非難しているのだろう。  涼矢は舌なめずりをする。「あんまり可愛いから」和樹の耳に息を吹きかけるようにして囁く。「乳首いじられるより、お尻のローターより、私の言葉に反応してくださるんですね」  和樹はその声にもビクビクとその身を震わせながらも、口元は硬く結んで、意地を張る。涼矢はローターをグイと中へと押し込んだ。 「ひっ……!」  それから、パンツを元のように穿かせたので、和樹は何故?と問いかけるように涼矢を見た。和樹の声の代わりのように、下着の中の、更にその奥から、唸るようなモーター音が聞こえる。 「では、どうしてもひとつふたつ片付けないといけない仕事があるので、待っててください」 「何……て?」  和樹をベッドに残し、和樹は立ち上がる。「良い子にしていてくださいね。一人でイカないで待っていられたら、ご褒美あげますから」 「バッ、ふざっ……これ、これどうすんだよ」  涼矢はにっこり微笑むだけで、何も言わずに部屋を出ていった。

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